ダ・ヴィンチWeb:2022年10月31日掲載

「自由になることに罪悪感が…」もしかして、親があなたの“監視役”として心の中に存在している!?/親子の法則


 知らず知らずのうちに「自分の限界」を決めてしまうことはありませんか? 自己肯定感が低い、欠落感を抱えている、主体性を持てない…それはもしかしたら、親からの刷り込みによる「親ブロック」があなたを縛っているからかも?

 三凛さとし著の『親子の法則 人生の悩みが消える「親捨て」のススメ』は、親との関係がうまくいかない人、親からの抑圧に苦しんできた人に、親に対する偏見を取り除き、親を客観視できるようになる「親捨て」ワークを提案します。親子関係を見直すことで本来の自分を取り戻し、自由に生きるためのヒントを与えてくれる1冊です。

「親が正しい、自分は間違っている」。どこかにそんな思いが根付いてしまっていませんか?

※本作品は三凛さとし著の書籍『親子の法則 人生の悩みが消える「親捨て」のススメ』から一部抜粋・編集しました

自由になることに罪悪感がある

 ここでいう「自由」は、おもに時間的な自由のことです。

 自分への制限が「親心を感じ取りすぎるあまりに生じたもの」とするなら、こちらは「親の生活態度を見ているうちに自然発生したもの」と言えるかもしれません。

 子どものころから親が労働に時間を捧げている姿を見続けたために、時間を自由に使える状況=遊んでいることと同じ、という思い込みがどこかにあって、親に「汗水たらして働かなければいけない」と言われるのではないか、と無意識のうちに感じているのだと思います。

 私自身、「親捨て」ができるようになる前、パソコン1つを持って仕事をしようと2か月くらい海外に出たことがあります。意気揚々と旅立ったものの、なんとも落ち着かない2か月でした。

 というのも、「自分は本当にこんなことをしていていいのだろうか」という思いがつきまとっていたからです。

当時すでにフリーランスとして独立してしばらくたっていたので、頭では「自分は自由だ」とわかっているものの、心がついていかず、罪悪感がむくむくと頭をもたげてくるのです。そのときは気づいていませんでしたが、きっと私は自分の父親が朝から晩まで働いていた姿と自分を重ね合わせていたのだと思います。

 父親が正しい、自分は間違っている……。どこかにそんな思いがあったのでしょう。

 もう10年以上前に親御さんを亡くされた方が、「いまだに『こんなことをしたら親がイヤな顔をするんじゃないか』と思ってしまうのです」と、私と同じようなことを口にされるのを聞いたこともあります。

 何歳になろうが、親が生きていようが亡くなっていようが、いつまでも親が〝監視役〟として心の中に存在している……。親子関係の根深さをかいま見る思いがします。

お金を計画的に使えない

 計画的なお金の使い方ができない人の中には、親がお金に苦労している姿を見てきたという人が少なくありません。「お金は苦労をもたらす」という思いがインストールされてしまい、お金に対して苦手意識を持っているのでしょう。

 また、親がお金に苦労している姿を見る以外にも、意外なところに原因がある場合もあります。

 たとえば、親に欲しいものをねだったときに、「そんなものは必要ないから買えない」と断られた経験です。親が子どもにその理由をきちんと伝えてくれればいいのですが、たいていの場合、突っぱねておしまいになりがちです。

 結果的に、子どもは「親が欲しいものを買ってくれなかった」という経験から、「私が欲しいものは手に入らない」と思い込むようになります。

 そして、お金を使うことに妙な罪悪感を覚えたり、「これが欲しい」と思った瞬間に「早く買わないと欲しいものがなくなってしまう!」という思いにとらわれ、見境なく手が伸びて散財したりするようになっていきます。

 また、浪費癖になる原因として、お金が原因で親同士が争ったり、お金が原因で親が苦しんだりしている姿を見たことも挙げられます。

 お金が争いや苦しみの原因となることでお金に対していいイメージが持てず、「自分の手元からなくしたい」といった心理が働き、散財してしまうのです。

 いずれのケースにも共通しているのが「お金に対して冷静な判断ができない」という点です。冷静に判断することができれば、計画性も生まれます。自分にとってのお金の使いどころもわかります。

 判断力のなさから感情だけでお金を使ってしまうことが、計画性の欠如につながっていきます。

仕事に対して積極的になれない

 仕事への取り組み方にも、親との関係が投影されます。

 親が仕事で疲弊した姿を見続けた結果、「仕事をすることは苦しいこと」としか思えなかったり、仕事が忙しいという理由でかまってもらえず寂しい思いをした経験があったり、そもそも親との関係がよくないので上司に親を重ねてしまい素直になれなかったりなど、いろいろなパターンがあります。

 その結果、「仕事で何かを達成する」という意欲が持ちづらくなっていきます。

 私の場合は父に対する恐れや怒りが根底にあったので、フリーランスになる前、新卒で会社勤めをしたときに一番苦労したのが、上司との人間関係でした。

 子どものころ、厳しかった父の前に出ると私はいつも緊張していました。

 それが無意識のうちによみがえってくるのか、上司に対してどうふるまっていいのか、わからなくなるのです。新入社員ですから、わからないことはどんどん上司に尋ねればいいし、報告すべきことはいち早く報告すべきだということは明白です。

 私自身、頭ではそのことを理解していました。しかし、心が別な動きをしてしまい、どうしても上司に対して素直に向き合うことができないのです。

 立場が上の人ほど、自分の懐に飛び込んでくる若い人をかわいく感じ、応援したくなるものだと思います。その点で私はまったくかわいげのない、何を考えているのかさっぱりわからない部下だったことでしょう。

 必然的に仕事で成果を上げることはできず、「自分は何て仕事ができないんだろう……」と劣等感が深まっていくばかりの会社員時代でした。

メンタル面のアップダウンが激しい

 感情のアップダウンが激しくて、自分で自分のことを持て余している人がいます。

 そういう人に限って、正しいか正しくないかに強いこだわりを持っていたり、白黒はっきりつけたがったりする傾向があると思いませんか?

 自分と異なった考え方や価値観を「そんなのはダメ」「私は認めない」と断罪したり、自分がいかに正しいかを延々と主張したり……。

 その陰にあるのは、親からの抑圧なのではないかと私は見ています。

 自分自身が親に抑圧されて「ああしちゃダメ」「こうしちゃダメ」と常にジャッジされ続けてきたのでしょう。

 だから自分も、他人をジャッジするのが当たり前になっているのです。

 自分が親の言いなりになってきたので、同じことを他人に求めてしまっている面もあります。他人が自分の思いどおりに動いてくれることなどあり得ないのに、それを求めてしまい、かなえられないと相手をゆるせない気持ちになります。

 自分の思いのままにならないと腹が立つので、会う人会う人「気に入らない」と感じてしまい、つき合う人が減って孤立していく傾向があります。

ルーズで自己管理がうまくできない

 自己管理ができず、ものごとをなりゆき任せにしてしまうのは、自分の人生を大切にしていないからと言えるでしょう。もっと強い言葉で言えば、自分の可能性を信じていないためです。

 考えてみてください。自分を律して時間の使い方や行動をコントロールしたり、しなければいけないことを自分で決めて継続したりできるのは、なぜでしょうか。そうすることで、自分自身の人生がよくなると信じられるからでしょう。

 逆に、なぜそれができないのかというと、「どうせ自分の人生は大したことない」「自分の能力も大したことない」「自分はちっぽけでつまらない人間だ」という思いが根底にあるからです。

 親が不用意に発する「ダメな子」「何もできない子」という言葉をそのまま受け止めて、「自分はそういうものなんだ」と思い、「ダメな自分」という自己像を作り上げてしまうのです。

 自分はちっぽけでつまらない人間なので、きちんとしたことをしても評価されないだろう、という確信に近いものを抱くようになります。

 その結果、ルーズで自己管理できない人格が形成されていくというわけです。

<第5回に続く>


※Yahoo!ニュース、マイナビ子育て等、多数のニュースサイトに掲載されました。