女子SPA!:2022年12月15日掲載
両親から“1000万円の借用書”を渡されガク然、それでも止まらない親に絶望
子どもは親を選べないことから、「親ガチャ」という言葉すら登場する昨今。親の生き方で子どもが苦労をしたり害を被ったりすると、「なぜこんな親に生まれてしまったのか」と運を恨むこともあるかもしれません。
今回取材した山崎さん(仮名・51歳)も、両親によって苦労を重ねてきた一人。親の、納得いかない、理解できない言動についての悩みを聞いてみました。
山崎さんの家は、自営業で暮らしを立てていました。曽祖父の代からの会社で、父親はいわゆる三代目社長。経営も安定しており、子どもの頃は何不自由なく暮らしていたそう。
「厳しくもなく、ゆるくもない、よく言えば放任主義な家庭。父は子育てに無関心で、どちらかというと、子育てポリシーがなかったという感じです」
ところが、ある時期から、両親が謎の人物に傾倒し始めます。
「突然、とある国の外国人の男性についての話が、家庭の会話に増えてくるようになったんです。もともと、父はビックマウスな傾向があり夢見がちな人で、『簡単に儲けられる』的な話にはすぐ乗るタイプ。しかも母も怪しいものをすぐ信じてしまう人で、両親ともにその外国人男性の言いなり。
食べる物もその人の信じる宗教の影響を受けたり、『娘さんの体が悪いと言われたから』と、私に謎のクリームを塗ったり……。具体的なことはわからないのですが、その外国人男性を教祖的に崇めているように見えて、娘として、ちょっと『これはヤバいんじゃないか』と思いましたね」
それから山崎さんは社会人になり、地元を出て仕事をすることに。そんな時期に、ついに両親からとんでもない連絡を受けたのです。
「ある日、実家に帰ると『例の外国人の男性にお金を渡したいから』と、1000万円の借用書を私と妹に出してきました。私たち姉妹は驚愕。『ありえない!』と突き返しましたが、よくよく話を聞いてみると、すでに母の実家にも何百万円もの借金をしていたんです」
さらに、両親の外国人男性への傾倒は止まらず。ついに妹の夫の実家にまで借金の伝手として、手を伸ばし始めました。
「妹の夫の実家に借金の話を持ち掛けたことにより、先方は不信感をあらわにするように。妹夫婦の間もギクシャクし、ついに離婚という結果になってしまったんです。妹はこの一件で両親とは絶縁しました」
その後、両親の会社は倒産し、バイト生活を送ることに。しかし、父親が病で急死。山崎さんは父親の遺品整理をしている時、スマホに恐ろしいメモを発見しました。
「どうやら、外国人へ献金をしてくれそうな人のことを表すような隠語を発見したんです。さらに見ていくと、借金の当てにできそうな人のリストもありました。さすがにこれはドン引きでした。母親に『これ以上、他人に迷惑をかけるな』と説教し、もうお金を借りないよう誓約書を書かせました」
結局、この出来事により例の外国人男性と縁を切らせ、過去の諍いも一旦水に流すことになりましたが…。
「実は、今でも怪しいものにハマる癖は残っていて、今度は謎の“水”にドハマりしていて。私の家にも強制的に送られてきたのですが、また誰かに迷惑をかけないか、不安です。元商売人なのに、楽にお金を稼ぎたいと思っているようで……。
過去に対しての怒りは正直まだありますが、怒り続けても自分がつらいだけなので、今は仕方ないと割り切っています。今後親とどう付き合っていけばいいのでしょうか……」
山崎さんの悩みについて、親子関係心理学の専門家で、著書に『親子の法則人生の悩みが消える「親捨て」のススメ』がある三凛さとしさんにアドバイスを聞きました。
「まずは自分が親との関係をどうしたいかについて、はっきりさせましょう。どちらにしても、無理して付き合い続けるか、スッパリ縁を切るかの2択です。親の人生と自分の人生は別。親の価値観や性格自体は今後も変わらないので、ありのままの親と付き合えるかどうかを、自分と向き合って考えてみてください」
また、「親の言動に対してネガティブに捉えすぎている可能性もある」と三凛さんは言います。
「自分の親が他人に迷惑をかけることを『恥ずかしい』と思うかもしれません。とはいえ、客観的に見れば、自分が思うほど山崎さんの人生には大きな影響がない可能性もあります。もし付き合うのが嫌なのに『親だから面倒見ないといけない』という気持ちがあって無下にできないのなら、一時的に距離を置いて、介護や看護が必要になった時にもう一度距離感を考え直すという手もあるでしょう」
親といっても、人間としては全く別物。切り離して考えることで、少し楽になれるのかもしれません。
<三凛さとし 取材・文/女子SPA!編集部>
※Yahoo!ニュース、マイナビ子育て等、多数のニュースサイトに掲載されました。