@DIME:2023年1月18日掲載

子どもがひきこもりやニートになる原因と親ができる3つの対策


子育ては母親に任せきりだった家庭の子どもはひきこもりやニートになる確率が2倍に

内閣府の調査によると、15歳以上40歳未満のひきこもりは推計54万1千人(※1)、40歳以上65歳未満は推定61万3千人おり、7割以上が男性であった。(※2)

そこで、『親子の法則 人生の悩みが消える「親捨て」のススメ』の著者・三凛 さとし氏は、15歳以上60歳未満の契約・派遣社員、フリーター、無職の未婚男性全国4,000人を対象に「ひきこもりとニート」について調査を実施。

原因や対策などの助言も添えて回答結果を公開した。

3割以上の人がひきこもりやニートの経験あり

「ひきこもり(※3)やニート(※4)、中年ニート(※5)の経験はあるか?」尋ねたところ、67.5%が「どれも経験がない」と回答し最多であった。

一方で、「現在、ひきこもり中」(8.4%)、「過去にひきこもりの経験がある」(7.4%)、「現在、ニート(中年ニート)中」(7.0%)など、ひきこもりやニート(中年ニート)の経験がある人が32.5%いることも判明。

ひきこもりやニート(中年ニート)の経験者1,300人と未経験者2,700人それぞれに「未成年だった頃、家庭環境について不満や問題を感じていたか?」尋ねたところ未経験者の最多は「感じていなかった」(38.9%、経験者は16.8% )。

一方、経験者は「感じていた」(23.9%、未経験者は11.1%)、「やや感じていた」(23.0%、未経験者は13.7%)が2トップとなり、家庭環境について不満や問題を感じて経験者は未経験者よりも約2倍多い結果に。

最後に「未成年だった頃の父親と母親の関係」について尋ねた。どちらも最多は「夫婦仲は良好」(経験者:35.8%、未経験者:41.0%)であったが、「夫婦仲は悪かった」(経験者:19.9%、未経験者:9.4%)と「父親は子育てを母親に任せっきりだった」

子どもがひきこもりやニートになる原因とは

未成年期に両親が不仲であったり、家庭環境に何かしらの不満や問題を感じていたりした人の方が、両親の仲が良く、家庭環境に不満や問題を感じていなかった人よりも2倍以上ひきこもりやニートになりやすいという結果が出た。その原因は、大きく分けて2つ考えられる。

1.自分自身の人生をサポタージュすることで両親に復讐

ひきこもりやニートなどになり、親に手間をかける子どもには、「そうなることで親の間違いを指摘したい、恥をかかせたい、困らせたい」という心理が働いていることがある。

このような心理が働いている子どもにとっては、自分自身がイキイキと幸せに人生を生きてしまったら、親の育て方や教育は正しかったことの証明になってしまうのだ。


2.未成年期に十分に受け取れなかった愛情を確認

ひきこもりやニートなどになり、親に手間をかける子どもには、「親に手前をかけることで、親からの愛情を確認する」という心理が働いていることがある。

未成年期に家庭内で何らかの不満を抱えていた人の多くは、「親から十分にしてもらえなかった、愛されなかった、自分がほしい愛情をもらえなかった」と恨んでいることも少なくない。

その不満を大人になっても解消できていない人の一部は、成人してからもひきこもったり、ニートになったりすることで、未成年期にしてもらえなかったことの補償を受けたいという心理が働く。

ひきこもりやニートの経験者に、上記2つを伝えると、今まで自覚していなかったけれど、確かにそれに近い気持ちや意図があったと気づく人も多くいるという。

親ができる対策とは?

未成年期の家庭環境が原因で自分の子どもがひきこもりやニートになってしまった場合、3つの対策が考えられる。

1.非を認め、子どもに謝る

確かに未成年期の家庭環境に原因があると感じられるのであれば、まずは当時の非を認め、謝ることが重要だ。

子どもに対して素直に謝れる親はかなり少ないが、自覚があるのであれば、謝った方が子どもの気も少しは済むし、そこから初めて新たな関係を築いていくことができるようになる。


2.子どもの話を聴く

謝ることに加えて、子どもにとって何が嫌だったのか、どうしてほしかったのかなど、心から向き合い話し合うことも重要だ。ここで気をつけたいことは、親であるあなた自身の気持ちや事情を押し付けないということ。

子どもにとって未成年期の環境は100%親に責任があることなので、親が「自分は悪くなかった」など釈明をすればするほど、子どもには響かなくなる。とにかく子どもの話を否定せず聴き、気持ちを理解することに努めることが大切だ。


3.面倒を見過ぎず、自立させる

特に、ひきこもりやニートの成人した子を持つ親は、子どもの面倒を見過ぎるがあまり、ひきこもりやニートが長期化してしまうケースが少なくない。

親も「自分の子育てが悪かったから」という罪悪感から、成人した子の面倒をいつまでも見てしまうという心理が働いてしまう。しかし、このようなパターンを繰り返していても、何歳になっても子どもは自立していかない。

子どもは「どうせ面倒見てもらえる」と甘えるようになり、親も「この子は独り立ちできないこだから」と、いつしか子どもを本当の意味で信じることができなくなる。

そもそも、本当に子どものことを信じているのであれば、突き放すこともできるはずで、法律的にも親には成人した子の人生の責任を取る義務はない。

今住んでいる家に子どもが居座っているのであれば、親が全ての物を持って引っ越しし、子どもが居座っている家の家賃や光熱費は払わなくするなど強制的にでも離れた方が、子どもの自立は早いかもしれない。


三凛 さとし(さんりん さとし)氏 プロフィール
ライフコーチ。親子関係心理学の専門家。米NY州立大学卒業。家庭内トラウマによる生きづらさを抱えるアダルトチルドレンをセルフコーチングで克服。その経験から、才能開花や経済的成功、パートナーシップ改善を指南する自己改革プログラムを開発し、9万人以上の人生好転をサポート。2022年3月には、親子関係について真の問題解決法を綴った初の著書『親子の法則 人生の悩みが消える「親捨て」のススメ』(KADOKAWA)を出版。



※1 2016年9月発表の「若者の生活に関する調査報告書」
※2 2019年3月発表の「生活状況に関する調査」
※3 ひきこもりとは、自宅にひきこもって学校や仕事に行かずに、家族以外との親密な対人関係がない状態が6ヵ月以上続いている状態のこと。
※4 ニートとは、15〜34歳で、働いていない、通学していない、家の仕事、あるいは家事を手伝っているわけでもなく、仕事に就くために就職活動もしていない人たちのこと。
※5 中年ニートとは、35歳以上のニートのこと。

調査概要
調査期間:2022年12月19日
調査手法:インターネット調査
調査年齢:15歳以上60歳未満
調査対象:契約・派遣社員、フリーター、無職の未婚男性全国
有効回答者数:4,000人
調査機関:Freeasy
※合同会社serendipity 調べ


※Yahoo!ニュース、マイナビ子育て等、多数のニュースサイトに掲載されました。