マネー現代:2023年1月22日掲載

「姉も夫も地獄へ落ちろ」出産直後の妹が、姉とまさかの再会で「炎のような怒り」が沸いたワケ


 合同会社serendipityが興味深い調査を発表している。その名も【きょうだい間格差についての調査】(20歳以上50歳未満の男女全国2,998人を対象)。

同調査によると、きょうだい(兄弟姉妹)のいる人に「他のきょうだいと自分の扱いに対しての親への不満はあるか」尋ねたところ、中間子女性は67.2%と最も「不満あり」が多く、末子男性は42.5%と最小だったことがわかった。また、生まれ順に関係なく、全体的に男性よりも女性の方が親に対して不満があったという。

たとえば長女が親に対し、きょうだい絡みで不満に思っていたことは「弟・妹には甘かったのに、自分には厳しかった」(58.4%)、「兄(姉)だから」と言われ、我慢することが多かった」(55.8%)。

一方、妹(末子)は妹で、「洋服や持ち物がお下がりだった」(57.3%)、「なにかと兄・姉と比較された」(26.4%)などの不満を抱いていた。

たとえ血を分けた姉妹であっても、日々の扱いの差に不満がつのり、ついには犬猿の仲になるようなケースもある。

本稿では、そんな姉妹間の不仲が最悪の形で露呈した女性のケースを見ていこう。

「思い出すと気持ちが悪くなる」

「自分の子が産まれるというときに、夫は女性と会っていたんです。しかも相手が……。最悪のタイミングだし最悪の相手だし、発覚後の対応も最悪でした」

思い出すと気持ちが悪くなると言いながら、アカネさん(39歳・仮名=以下同)は吐き捨てるようにそう言った。彼女がショウイチさん(40歳)と結婚したのは30歳のとき。3年つきあった末のデキ婚だった。

マネー現代に「きょうだい間格差」の調査リリースが掲載されました。

「それでも一応、夫は『子どもが産まれるなんてすごい』と喜んでくれたんですよ。ちょっといいかげんなところはあるけど、明るくて前向きな夫といると気が楽で、夫の欠点は私がフォローしていければいい。そんな感じで結婚したんです」

ところが結婚後も仕事を続けていたアカネさんに、夫が積極的に協力することはほとんどなかった。あげく、ときどき義母から電話がかかってきては「うちの息子に家事なんてさせないでよ、大事に育てたんですからね」と言われる始末。

「私、今、つわりで苦しんでいるんです。でもショウイチさんはまったく助けてくれない。大事に育てられたのに思いやりがないみたいですねと、義母に言い返したこともあります。何を言われてもへたれている場合じゃなかった。つわりと、義母と夫に勝たなければ、無事に子どもは産めないと思ったので」

夫の実家は、自宅から1時間程度のところなので、義母がアポなしで突入してくることもあった。手伝ってくれるならいざしらず、冷蔵庫や掃除が行き届いているかのチェックをしにくるのだ。

「一時期、本当にイライラして、義母に『もう二度と来ないでください』と追い返したこともあります。あとでそれを知った夫は『どうしてうちのおかあさんを傷つけるんだ』と怒っていましたね。

夫はひとり暮らしをしたことがないので、私が残業などで遅くなると、ひとりの家に帰るのは嫌だと実家に行ってしまうような人なんです。あれほど実家に頼っているとは思ってなかったので、結婚してからびっくりしました」

アカネさんの実家も自宅から1時間ほどだったが、彼女は大学生時代からひとり暮らしをしていた。原因は母と姉にある。

姉からの嫌がらせに耐えてきた

「姉と私は年子なんです。下に弟もいるんですが、母親は姉と弟ばかりかわいがっていた。特に私は姉と比較ばかりされて……。姉も母が味方だとわかっているから、私には意地悪ばかりする。

マネー現代に「きょうだい間格差」の調査リリースが掲載されました。

小学校1年生くらいのとき、家の前で友だちと遊んでいたら、姉と友だちもやってきたんです。その後、近所が騒がしくなり、警官もやってきて、『このあたりで財布を落とした人がいるんだけど、きみたち知らない?』って。みんな知らないって言ったんだけど、姉が警官のところに言ってひそひそ何かささやいた。

すると警官が私のところにやってきて、ポケットを見せてって。その前に姉がハンカチにくるんだものを私のズボンの大きなポケットに突っ込んだんですよ。なにこれって言ったら、『秘密。あとで教えるからそのまま入れといて』と。

それを見せろと言われたので見せたら、ハンカチから出てきたのは折りたたみの財布。私はそのまま警察に連れて行かれました」

母親もやってきて、会うなり平手打ちされた。おねえちゃんが私のポケットにと言いかけたが、何を言ってもどうせ信じてはもらえないだろうと思ったという。

「姉が私のポケットに何かを突っ込んだところを見た子はいないんです。姉は私を手招きしてこそこそっと入れたから。ただ、姉は『妹が何かを拾ってポケットに入れるのを見た』と証言したそうです。小さかったから、自分の気持ちをうまく言葉にできなかったけど、姉に陥れられたことだけはわかった」

子どものことだし、財布は無事に戻ったからとおとがめなしだったが、母はくどくどと「あんたは嘘つき。人のものを盗るなんて末恐ろしい」と、それまで以上にアカネさんにきつく当たるようになった。

「父は何か勘づいていたと思う。私には優しく接してくれました。だけど最後は母親に言いくるめられてしまう。それからも姉にはことあるごとに嫌がらせをされていました。相手にしないようにしても、つい私も腹が立って言い返してしまう。

高校生になると、私のほうが成績がよかったので、姉はそれも気に入らなかったみたい。私が通っている高校に、姉の友人がいたみたいで、『あの子は嘘つきだから気をつけたほうがいい』と噂を流したりするんです。

姉とはなるべく顔を合わせずに暮らすようにしていました。早く家を出たい。それだけを考えていた。だから大学入学と同時に、父にアパートを借りてもらって家を出たんです」

卒業後は、希望していた大手企業に就職がかなった。一方の姉は大学を中退、気が向いたときだけアルバイトをするような生活だった。それでも母親は姉が手元にいれば満足しているようだった。

自分の子が産まれるというときに……

結婚式は挙げなかったし、姉との仲を夫に正直に話していたので、両家の顔合わせもしなかった。

「夫はめんどうくさがりなので、かえってラッキーと思ったみたいです。私だけ夫の実家に行って両親と会いました。その時点では夫は、ただのやんちゃな末っ子にしか見えなかったんですけどね。考えれば7歳年の離れたお姉さんがいて、両親が40歳を越えたときの子なので甘やかされて育ったんでしょう」

それでもアカネさんが産休に入ると、夫はそれなりに子どもの誕生を楽しみにしていたようだった。

「早く産まれて来いよーとお腹を撫でたりしていました。ただ、予定日になってもまったく産まれる気配がなくて……。ようやく産気づいたのは予定日から8日もたってから。心構えはできているつもりだったけど、実際には焦りましたね。

病院に連絡するとすぐに来てということになりました。夫には連絡がつかないまま、ひとりでタクシーをつかまえて病院に行きました」

ところが出産に際して急なトラブルが発生、緊急で帝王切開をすることとなった。アカネさんはそのあたりからほとんど記憶がない。目が覚めると子どもは女の子、なんとか無事だったと聞かされた。

マネー現代に「きょうだい間格差」の調査リリースが掲載されました。

「子どもは集中治療室にいましたが命に別状はない、と。私もそのときは集中治療室にいました。とりあえず命は無事だということでホッとしたのを覚えています」

アカネさんは翌日には一般病室へ移動。そして夫より早く、義母がやってきた。

「義母は来るなり、『あなたの不注意で大変なことになったようね』と。義父に『そういう言い方はやめなさい』とたしなめられていました。義父が『ショウイチはまだ?』というので頷いたら、『あの子は忙しいのよ』と義母がフォロー。どうでもいいから休ませてほしいと思いましたね」

ようやく夫がやってきたのは、その日の夜だった。急な出張が入ったと言い訳をしていたが、携帯がつながらなかったのは不自然すぎる。

「どこかで遊んでいたか浮気していたか、どっちかだろうと思っていました。子どもが産まれるのを待ちくたびれてしまったんでしょう。早めに帰宅することにも飽きてしまったのかもしれない。夫本人が子どもなんですよね」

夫を責めることさえめんどうだった。だが夫が帰っていった後、病室に現れた人物を見て、アカネさんは息が止まるほど驚いたという。

何年も会っていない姉が現れて……

出産の翌日の夜、ふらりと病室に現れたのは、何年も会っていない姉だった。

「姉は入ってくるなり、『ショウイチ、間に合わなかったんだって?』とニヤニヤしながら言ったんです。嫌な予感がしました。『彼、言ってたわよ。産まれてくるのが女の子じゃ、つまんないなって』と追い打ちをかけてくる。

私は姉の顔を見ないようにしていました。すると姉は『あれ、もう知ってるの?』と言うんです。思わず顔を見てしまいました」

姉は勝ち誇ったようにアカネさんを見下ろした。そして言ったのだ。

「ごめんね、アカネ。ショウイチさんと私、体の相性がハンパなくいいのよー」

起き上がろうとしたアカネさんだが、まだ体力は回復していない。そんなアカネさんを見ながら、姉は言い放った。

「でも大丈夫、私、別にショウイチと結婚するつもりはないから。妊娠中ってできなくてかわいそうだから、相手しただけ。ま、相性いいからまた貸してもらうかもしれないけどね」

ショックのあまり何も言い返せなかったアカネさんだが、胸の奥のほうから炎のような怒りが沸き起こるのを感じたという。

「姉も姉ですが、それに乗る夫も夫。私が姉からどんな仕打ちを受けたか知っているくせに、そういう関係になるなんて、あんまりでしょう。小さいころから姉にされたことを次から次へと思い出して、その晩は眠れませんでした。絶対にこのままにはしない。姉も夫も地獄へ落ちろ、いや、私が落としてやると決めました」

*     *     *

夫の不倫が許せないのは当然として、その相手が「姉」だったのが、アカネさんにとって一番ショックだったことだろう。

姉妹間で比較されることを妹が不満に思うのは先述したとおり、さらにアカネさんは姉から事あるごとにひどい仕打ちをされてきた(一方で、姉には姉で自分より優秀な妹を煙たがる気持ちもあったのだろう)。

思えば、放置してきた姉妹間の不仲が「不倫」という形で顕在化したこの出来事。もっと前に許し合うか、あるいはいっさい没交渉の関係を貫くべきだったと言えよう。

2人のとめどない憎悪の炎は、その後もそれぞれの家族を巻き込んで燃え続けることになる。詳しくは後編記事〈夫の不倫相手はまさかの姉…!憎しみ合った姉妹が引き起こした「3組の夫婦」の破綻劇〉でお伝えする。


※Yahoo!ニュース、マイナビ子育て等、多数のニュースサイトに掲載されました。