WOMAN’S LAB:2023年7月11日掲載
テーマは「夫婦のセックスレス」 時代を捉えた人気ドラマ、妻・夫それぞれの共感ポイント
フェムテックや女性の健康への関心が社会的に高まったことで、長い間タブー視されてきた「生理」「妊活・不妊」「更年期」「セックス」などをテーマにしたドラマや報道が増えている。その一つが、今年4月から6月まで放送され話題を集めたドラマ「あなたがしてくれなくても」。夫婦のセックスレスをテーマにしたもので、原作の累計発行部数は940万部を突破(2023年6月時点,ハルノ晴,双葉社)。テレビの見逃し配信サービスTverのお気に入り登録数は120万人を超えた。大きな反響を呼んだ理由は?ドラマ視聴者のレビューから、妻と夫、それぞれの声を拾った。
夫婦のセックスレスをテーマにした恋愛ドラマ「あなたがしてくれなくても(フジテレビ木曜夜10時)」。登場するのは、セックスレスに悩む30代無子の2組の夫婦(※)。ひと組は、”妻だけED”で夫婦間のセックスに必要性を感じていない夫と、求められる事で夫からの愛を感じたい妊活希望の妻。もう一組は、仕事と家事を両立しながら妻を支える夫と、妊娠・出産・育児でキャリアを諦めたくない、仕事に没頭する妻。両夫婦とも互いを愛していないわけではないが、子を持つことやセックスへの価値観の違いなどから徐々にすれ違い、夫婦関係が複雑にもつれあう。(※)キャストは奈緒、永山瑛太、田中みな実、岩田剛典など
2年前にもセックスレスをテーマにしたドラマ(「それでも愛を誓いますか?」ABCテレビ/テレビ朝日,2021年)が話題になったが、こちらは、夫に拒まれる妻の心情に主に焦点を当てたものだった。一方で「あなたがしてくれなくても」は、妻を拒む夫の心情と、妻に拒まれる夫の心情にも着目したストーリー展開。妻と夫、それぞれの立場からセックスレスを解き明かそうとする設定は、男女の相互理解が求められる今の時代だからこそ。リアリティー溢れるストーリーに、多くの共感の声が寄せられた。
ドラマのレビューサイトやSNSから視聴者の感想をリスニングしたところ、圧倒的に多かったのは妻側の声。夫に拒否される心情に共感する声が多かったが、中には、夫を拒否してしまうことに悩む声も。一方、夫側は、妻を拒否する登場人物の言動に理解を示す声が多かった(以下の視聴者の声は、SNSを始めネット上に投稿された文章を文意が変わらない程度に編集しています)。
口コミをネット上に上げたのは圧倒的に妻が多かったが(編集部調べ)、ドラマが描く通り、セックスレスは女性だけの悩みではない。20代後半の既婚男女1,000人(男女各500人)を対象にした調査では、セックスレスに悩んでいるのは女性の方が多いものの、大差なく男性も約5割が悩んでいることを明らかにしている。
ただしセックスの目的は男女で異なるため、セックスレスの受け止め方や悩みの深度を男女同一には捉えるべきではないだろう。以下は、セックスの目的について調べた調査の結果概要(ジャパン・セックスサーベイ2020)。根本的に男女間でこれだけ目的が違うのだから、セックスレスの悩みが複雑で夫婦の気持ちがすれ違うのは、当然と言えば当然だ。
※Yahoo!ニュース、マイナビ子育て等、多数のニュースサイトに掲載されました。