女子SPA!:2023年7月15日掲載

「お前は何もできない」父親のモラハラで自信喪失…
親の呪縛から逃れるために必要なのは



 親子関係心理学の専門家でコーチングやコンサルティングしている三凛さとし氏。著書『親子の法則人生の悩みが消える「親捨て」のススメ』では、人生の9割は「親との関係」で決まる、と人格形成においていかに親の影響力があるかを説いています。
 恋愛、夫婦関係、仕事、お金…など、現代社会を生きる女性たちは様々な悩みを抱えています。その悩みの根幹には、親子関係や過去の自分が少なからず影響しているのでしょうか? コーチングプログラムなどを通して、これまで何万人もの方の、人生好転の手助けをしてきたという三凛氏に、悩める女性のリアルなお悩みに答えてもらいました。

父親のモラハラと暴力で自立できない…どうすれば?

相談者:女性・42歳・求職中
「両親と実家住まいで独身です。父親は暴力やモラハラをするタイプで、子どもの頃から父親の顔色を見て生活する毎日です。 今まで何度か家を出ようとしましたが、仕事が長く続かず、経済的にも自立できない状態です。また、残される母を思うと、どうしても出られません。 仕事を辞めるたびに父に『お前は何もできない』とののしられ、自信を失ってしまい、今仕事をすること自体が怖いです。 父の呪縛から逃れ、母と共に自立するにはどうしたらよいでしょうか」

親捨てワークで見方を変える

――親からの自立、という相談ですが、まずはどうすればよいでしょうか?

三凛さとしさん(以下、三凛)「父親のモラハラや暴力はつらいと思いますが、見方を変えれば、相談者さんはとてもありがたい環境にいるとも言えるかもしれません。常に住む家と食べる物がある環境は、実はとても恵まれた状況。それに気づくことで、もしかしたら仕事など人生でうまくいかないことを、親のせいだと結びつけてしまうクセに気づけるかもしれません。 いずれにしても、父親のせいにして後ろ向きに生き続けてしまうなら、まずは“親捨て”をすることから始めましょう」

――「親捨て」とは、どうすればよいのでしょうか?

三凛「『親捨てワーク』というワークがあります。このワークをすると、1つの状況を違う面からとらえることができるので、今まで最悪だと思っていたことが、実は人生のギフトだったと気づけます。つまり、認知を変えるワークです。 例えば、『お前は何もできない』と父親から言われたという事実を、別の方向から捉えると、父親はののしったのではなく、厳しい言葉で娘を叱咤激励したとも考えられます。 また、そもそも、実家にずっと住まわせてくれて、ご飯を作って食べさせてくれる環境は、実はすごく親に愛されているとも考えられますよね。このように、親捨てワークでは、実際に起きたことからメリットを見つけていきます。 同じ出来事も、見方を変えることで親の愛に気づけて、ネガティブに捉えていたことも、問題視しなくなります。そして恨みも薄れていくので、親への執着も弱くなり、両親と離れ、自分の責任で人生を生きていけるようになるでしょう」

世代が違う親とは価値観にズレも

――なるほど、もちろん暴力やモラハラは間違っていますが、過去の父親の発言はののしりだけでなく、表現方法は誤っているにせよ、大人になりきれない彼なりの励ましなどの面をもっていたと、複数の視点で見ることで、今後は前に進めそうですね。一般論として、みんなどこかのタイミングで親から自立をした方がいいのでしょうか?

三凛「親とは一定の距離を置いた方がうまくいく傾向はあると思います。やはり、親は生きてきた時代が違います。世代が違うと、価値観もひと昔前の考え方をしがちなので、今の時代の解釈や生き方、行動パターンについて理解することが難しい時もあります。

離れてみると、初めて『親孝行したい』とも思いますし、親とはいい意味でドライに付き合うくらいがちょうどいいのではないでしょうか」

自分の人生のハンドルを自分の手元に戻して

――親の意見に左右されず、自分で決めて行動できれば、自立する自信につながりそうですね。

三凛「そうですね。足を引っ張る人や環境のせいで『自分の人生がうまくいかない』という考え方をしていると、やはりモチベーションが下がり、うまく進めなくなります。 ネガティブな出来事の見方を変えて、デメリットと同じくらいメリットを感じられれば、未来は明るく感じられるはず。他人は変えられないですが、見方は自分で変えられます。自分の人生のハンドルを自分の手元に戻して、次の一歩を踏み出してください!」

 親からのつらい仕打ちや良くならない関係性も、自分の捉え方を変えれば新しい道が見えてくるかもしれません。親との関係をドライに見直すことが、離れる決心をする背中を押してくれる可能性も。まずは、自分の認知にクセがあるのでは、と気づくことから始めてみましょう。

<三凛さとし 文/女子SPA!編集部>


※Yahoo!ニュース、マイナビ子育て等、多数のニュースサイトに掲載されました。