Yahoo!ニュース:2023年7月16日

【義家族との間】「夫の顔が苦痛で歪んだ」子作りに失敗したレス夫婦がそれでも離婚しない理由~その2~


写真はイメージです。

家族の中には、血縁のない『義(理の)家族』という間柄がある。結婚相手の親族関係を指すことが一般的だが、離婚件数が増える現在では、親の再婚相手や、再婚相手の連れ子など、家族の関係は複雑化している。血のつながりがないからこそ生じる問題、そして新たに生まれるものも存在する。義家族との関係を実際に持つようになった当事者にインタビューして、そのときに感じた率直な思いを語ってもらう。 セックスレス夫婦のドラマが話題になっている。

合同会社serendipityでは、25歳以上30歳未満の既婚男女全国1,000人を対象に「セックスレス(※)と未成年期の両親の仲の関連性」について調査を実施(実施日:2023年5月18日、サンプル数:1,000人(男女各500人)、インターネット調査)。

20代後半の35.5%はセックスレスであり、セックスレス既婚者の36.9%が「1年以上セックスしていない」という結果になった。

(※)日本性科学会では、セックスレスとは夫婦やカップルにおいて「特別な事情がないにもかかわらず、性交あるいはセクシュアル・コンタクトが1か月以上ない」ことを指す。

今回お話を伺った恵理子さん(仮名・39歳)は大学のときから付き合っている男性と27歳のときに結婚。付き合っているときからレス状態に入っていて、いつ別れても仕方ない状況は遠距離という出来事で修復に至っていた。 【その1は関連記事から】

遠距離でも新婚でも、仲が悪くないだけ

遠距離期間は約4年。お互いにお金に余裕はできたものの、時間の余裕が大幅に減ったことで会えるのは2か月に一度ほど。遠距離の間、行為があったのは5回ほどだった。

「スケジュール帳に数えてしまっていました(苦笑)。久しぶりに会っても一定の距離を置いて、話をするだけ。お互い実家だったので遠距離中に泊まるのはホテルだったのですが、ツインルームだったときにはもうするつもりもないんだなって思いましたね。 4年もあると、会うのが義務みたいになってくるんです。『今月(会えるのは)はこの週かな』と事務的なメールが入って、それに返信するだけ。『早く会いたい』などの言葉なんて、半年ほどしかなかったんじゃないかな」

それでも、別れずに2人は結婚。結婚してから父親が亡くなるまでは恵理子さんは2拠点の生活を続けた。恵理子さんが岡山の実家で過ごす期間には、ショックなことがあったという。

「父親は結婚して半年ほどで亡くなりました。その間、夫の許可も得て、定期的に実家に帰っていました。岡山の仕事は結婚を機に退職していたのですが、どうしても父親の側にいたかったので。 一度、実家に滞在する予定を1日早めて大阪の家に帰ったことがあったのですが、そのときに……、ゴミ箱にある大量のティッシュを見つけてしまって。小さな袋にまとめられていました。私がいるのに、自分でしているんだって思いましたね。もしかしたらもう性的な気持ちがないのかなって思っていたので、その気持ちはあるのに対象が私じゃないんだってわかって、ショックでした……」

夫婦生活で苦痛に歪む夫の顔

結婚して3年経っても夫婦生活は一度もなし。義母からさりげなく孫について聞かれる機会も増え、そのことをメインに、夫婦の話し合いの機会を持ったという。

「表向きには、子どもについての話し合いです。レスについては面と向かって話す勇気がなかったので、義母の催促もあるし、私も30歳を超えていて子どもが欲しいという話をしました。そしたら、夫から『いつかは欲しいと思っていた』と遠い未来の話みたいな言い方をされて、イラっとしましたね。お互い30歳でタイミングは今ということを伝えて、そこから月に期間を決めて夫婦生活を持つことを決めました」

タイミングは妊娠しやすい期間に毎日が望ましいことも理解していたが、1日置きの2回と回数も決めて行なった。最初こそ夫は何も言わずに協力してくれていたが、4度目のタイミングあたりから「減らしてほしい」と訴えるようになり、7度目には「(行為は)愛情を感じられるものではなくなった」と恵理子さんはいう。

「最初のほうはまだ愛情を感じられるものでした。でも、『減らしてほしい』と言われてから、時々夫の顔が歪むのを感じていました。苦痛なんだろうなって。後半になると、本当に妊娠するための手段となっていました。

その行為を3年ほど続けたのですが、妊娠せずに私から『夫婦だけで楽しく生きていけたらいいね』と伝えて、終わりました」 今も夫婦は、表面上は仲良く暮らしている。数年前に引っ越しをして、そのときに2人の寝室を別々にしたという。恵美子さんに離婚の意志はない。
その理由について「レスで別れるのって、結局は他に別の異性を求めているということですよね。今相手がいないにしても、将来的にはそれを望んでいるということ。私たち夫婦にはそれがないんだと思います。

女性として見られたいという願望が、この安定した生活をなくしたくない思いより強くなることはないです」 冒頭のアンケート調査では、「配偶者とのセックスレスを悩んでいるか?」の問いに、「悩んでいる」のは男性47.3%、女性51.5%となり、「悩んでいない」と回答したのは男性52.7%、女性48.5%となった。20代の夫婦でもおおよそ半分の夫婦は悩んでいないのである。セックスレスは離婚事由になるが、離婚しないことを選択した夫婦も多い。セックスレス夫婦の数は想像よりもずっと多いことが予想される。


取材・文/ふじのあやこ 情報誌・スポーツ誌の出版社2社を経て、フリーのライター・編集者・ウェブデザイナーとなる。趣味はスポーツ観戦で、野球、アイスホッケー観戦などで全国を行脚している。


※Yahoo!ニュース、マイナビ子育て等、多数のニュースサイトに掲載されました。