@DIME、Yahoo!ニュース:2024年4月19日掲載
最近、ドジャースの大谷翔平選手の元通訳・水原一平氏のギャンブル依存問題が世間を騒がせています。そこで、どんな人がギャンブルに依存する可能性が高いのかを調査し、考察しました。ギャンブル等依存症とは、ギャンブル等にのめり込んでコントロールができなくなる精神疾患の一つで、人口の3.6%がとされています。
学術的にギャンブル依存症は、近年、遺伝の関係性が指摘されています。 アメリカのミズーリ大学の研究によると、家系にギャンブル依存症患者がいる場合、19.0%がギャンブル依存症予備軍。いない場合の発症率は5.0%なので、家族歴はギャンブル依存症を4倍にする、という結果が出ています。
今回の調査では、ギャンブルに依存したことがある人のうち、28.5%が家族もギャンブルに依存したことがあると答えたのに対して、ギャンブルに依存したことがない人の家族のギャンブル依存率は14.1%でした。このことからも、ミズーリ大学の研究を裏付ける結果が出ました。
ギャンブルに依存する方の年収に関しては、 100万〜200万円が最も低く、そこから年収が上がっていくにつれて依存する確率も上がっていきます。
しかも、軽い依存を含めると、年収600万~1000万未満と比較的裕福な層では32.0%、1,000万円以上では31.6%が現在・過去含めて依存した経験があると答えています。つまり、三人に一人は依存経験があったということになり、これはかなり高い水準ではないでしょうか。
年収が高い人の方がハマる傾向があるということは、次のような原因が考えられます。
・そもそもギャンブルに使えるだけの経済的余裕がある
・責任あるポジションからくるストレスやプレッシャーを解消するため
・報酬感の追求 高収入を得ることに成功した人は、報酬感を追求する傾向がある。結果、ギャンブルでリスクを取るスリルと成功した時の報酬感にハマる。
実は私も昔、FXなど「トレード」という名の投機(ギャンブル)にハマってしまい、大きな損失を出してしまった過去があります。
にもかかわらず、そこから抜け出せたのは、仕事含め打ち込めるものや没頭できるものが他に見つかったからということと、大切な仲間や家族ができたなど人間関係が充実したことが大きかったです。
「遺伝だから」と個人的な経験則で言えば、遺伝以外に何かギャンブル依存になる要因があるとするならば、ストレスの多い生活、ギスギスした人間関係や孤独、そしてギャンブル以外に趣味や没頭できるものがないことだと思います。
水原一平さんに関しても、遺伝が原因である可能性と、ストレスやプレッシャーの多い環境に長期間身を置き続けているということがギャンブル依存に繋がった可能性が高いと言えます。
しかし、ギャンブル依存症には特効薬はないと言われていて、認知行動療法、モチベーション向上インタビュー、薬物療法、家族療法、生活スキルトレーニングなど、さまざまな治療法は開発されていますがどれも絶対ではありません。
また、ギャンブルを止められるきっかけも人それぞれで千差万別なのです。
但し、依存症治療において絶対的に必要なものが一点あると言われていています。それは「自覚」です。
今回の調査でも、おそらく本当は依存しているのに「自分はまだ依存していない」と思いたいため、「依存なし」と回答した人もいるのではないかと推測しています。
しかし、自覚がなければ自分の行動を改めることもできませんし、専門機関で治療が必要かどうか正しい判断もできません。
そういう意味では、水原さんは騒動が発覚する直前にドジャースの選手たちの前で、自分は依存症なんだと告白しているようなので、十分に自覚されていることかとお見受けします。
大谷選手関連のこと、しかも被害総額がかなり巨額ということもあり、水原さんに対しては世の中からの批判の声も当然多い状況ではありますが、遺伝が大きな要因だということも最近は解明されてきているので、ご本人には適切な治療を受けることに専念していただきたいです。
また、今同じようにギャンブルに依存してしまっている人も、軽度な場合は、以前の私のように、ギャンブル以外で集中したり没頭できたりするものを見つけ、人生を充実させられるよう今日から意識して生活していただきたいです。重度な場合は、すぐにでも専門機関にご相談していただきたいと思います。
遺伝が原因の多くを占めるということは、ギャンブル依存症も他の多くの遺伝性疾患と同じように恥ずかしいものではなく、仕方のないものです。
水原さんの事件をきっかけに、日本でも依存症への偏見がなくなり、治療して社会復帰する人が増えれば、日本社会全体にとってもプラスになります。
今回の調査を通して、まずは一人一人が依存症について正しい認識を持つことが大切なんだと、改めて認識することになりました。
調査概要
調査期間/2024年4月1日
調査手法/インターネット調査
調査対象/20歳以上80歳未満の男女全国
有効回答者数/2791人(男性:1374人、女性:1417人)
調査機関/Freeasy
出典/合同会社serendipity 調べ
構成/清水眞希
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合同会社serendipity