THE GOLD ONLINEに「親が抱えたお金の悩みが子どもへと連鎖する?データが示す「収入と貯金」への影響」が掲載:2024年9月13日

親が抱えたお金の悩みが子どもへと連鎖する?データが示す「収入と貯金」への影響


子どもの頃に見た「親がお金で困る姿」。それがいつしか大きなメンタルブロックとなって、収入や貯金に影響を与えることもあるといいます。本記事では、延べ15万人に「お金の最適解」を教えてきた三凛さとし氏の著書『金のなる本 誰でも再現できる一生お金に困らない方法』(KADOKAWA)より、一部を抜粋、再編集して、親から子どもに連鎖する「お金の悩み」について詳しく紹介します。


親が抱えたお金の悩みが子どもへと連鎖する?

子どもの頃に「親がお金で苦労する姿」を見て育った人は、成人してから金銭的な面でさまざまな悩みに直面する傾向があります。経済格差の連鎖には、教育への資金の多少に加えて、メンタル的な要因も大きいというのが私の考えです。

その相関関係を調べるために調査を実施しました。30歳以上60歳未満で、子どものいない未婚の男女、全国1,688人にインターネットでアンケートを行ったものです(2022年、合同会社serendipity調べ)。

まず、「幼少期に見た、お金に対する親の様子」に関する質問結果から、親がお金に苦しむ姿を「見てきた」グループ(692人)と、「見てこなかった」グループ(305人)を抽出。各グループの年収、貯金額、お金の悩みを比較しました。

年収について、明確な差が表れたのは「0円~300万円未満」の人と、「500万円~1,200万円未満」の人でした。低収入と言える前者では親がお金に苦しむ姿を「見てきた」人の割合が多く、高収入と言える後者では「見てこなかった」人が2倍ほどの割合になりました。

この結果から、幼少期に親がお金に関することで苦しむ姿を見て育った人は低収入になる傾向があり、表現を変えれば「高収入になることができない」傾向があると言えます。

貯金の有無にも同様の傾向が見られました。「貯金がない」と答えた人の割合は、親がお金に苦しむ姿を「見てきた」グループ(23.4%)と、「見てこなかった」グループ(13.1%)を比べると、約1.8倍もの差がありました。

 

「収入」と「貯金」にも影響

最後に、お金の悩みに関する質問についても紹介しましょう。悩みの内容に関して、2つのグループで特に顕著な差が表れたものは、「収入が思うように増えない」と「貯金ができない」でした(図表1)。

[図表1]

収入が増えない悩みを持つ人は「見てきた」グループで46.0%、「見てこなかった」グループで27.9%。貯金ができない悩みを持つ人は「見てきた」グループで39.0%、「見てこなかった」グループで24.9%となりました。

親がお金に苦労する姿を見て育った人は、収入と貯金という経済的に重要な2つの面に大きな影響が出ることがデータでも確認できたと言えます。

私のお金に関するメンタルブロック(※)の形成に大きな影響を与えたのは、高校生のときのつらい経験でした。両親が離婚した後、私と弟の養育費を巡って、父と母が激しく争う場面に幾度となく遭遇しました。そして、その仲裁役を私が担わされることになったのです。

父が養育費を渋っているように感じられ、「自分は十分なお金を払ってもらえないくらい価値のない存在なんだ」という思い込みが心に刻まれていきました。この経験は私の自己肯定感を大きく低下させ、人生を前向きに捉えることを難しくさせました。

同時に、両親がお金を巡って争う姿を目の当たりにしたことで、「お金は人を意地悪にし、性格を悪くする怖いもの」というイメージが強く植えつけられました。この恐怖感は、長年にわたって私のお金に対する態度に影響を与え続けました。

お金を持つことへの無意識の抵抗感や、経済的成功を追求することへの罪悪感は、ここに起源があったのです。

 

※メンタルブロック…私たちの心の中に無意識のうちに形成される目に見えない障壁のこと。「自分には無理だ」「お金を持つことは悪いことだ」「成功するのは一部の人だけだ」といった否定的な信念や思い込みは、典型的なメンタルブロックの例です。結果として、個人の潜在能力の発揮を妨げ、人生の重要な機会を逃す原因となることがあります。

三凛 さとし

ライフコーチ