ソクラテスのたまご:2023年1月7日 記事掲載

成人した子どもに関する悩み。
3位「実家を出ようとしない」、2位「恋人がいない」。それより深刻な1位は……


2023年1月9日は成人の日。お子さんが成人するのは、とてもすばらしいことです。立派な社会人へと育て上げたお母さんお父さん、本当にお疲れさまでした。
しかし、成人したら一安心かというと……決してそうとは限らないようです。今回は、成人した子どもを持つ母親1,569人を対象にした「成人した子どもに関する悩み」についての調査結果をご紹介します。

「成人した子どもについての悩み」TOP3は?

『親子の法則 人生の悩みが消える「親捨て」のススメ』(KADOKAWA)の著者であるライフコーチの三凛さとしさんが、成人した子どもを持つ母親1,569人を対象に「成人した子どもに関する悩み」をアンケート調査したところ、悩みの3位は「実家を出ようとしない」、2位は「恋人がいない」、1位は「結婚しない」……となりました。

1~3位とランク分けされていますが、「実家を出ようとしない」「恋人がいない」「結婚しない」は連動している可能性も……!?

特定のパートナーがいれば、同棲や一人暮らしなど、次第に実家から離れた生活を希望するでしょう。反対に、パートナーがおらず、職場も実家から近いのなら、特に家を出る理由がないことも考えられます。

パートナーがいないことは、「結婚しない」にもつながるでしょう。あるいは昨今の晩婚化にともない、「パートナーはいるけれど結婚には興味がない」という方もいるのかもしれません。いずれにしても、1~3位は根っこの部分でつながっていそうです。

親自身の「両親との関係」との意外な相関

三凛さんは、成人した子どもに悩みが「ある」「ない」母親の両方に対して、「未成年期のあなた自身と両親との関係はどのような状況でしたか?」と質問しました。

すると、アンケート結果から意外な現実が……。

「仲が良かった」「好きだった」などポジティブな過去を持つ方は、成人した子どもへの悩みは「ない」と回答する確率が高いことが分かりました。反対に、「厳しかった」「嫌いだった」などネガティブな過去を背負う方は、子どもが成人しても悩む傾向が見受けられました。

この調査結果について三凛さんは、「知らず知らずのうちに親と同じことをやってしまっている」、あるいは「両親からの愛情表現がなかった方は、子どもに愛情表現したくてもやり方がわからない」からではないか、と分析しています。

両親からたっぷりの愛情を受けてきた方も、愛してもらえなかった方も、それがデフォルトとなり自分の子にも同じように振る舞ってしまうのだとか。「親の背中を見て子は育つ」といいますが、ポジティブな意味でもネガティブな意味でも、どうしても同じように成長してしまう場合があるのですね。

悩みを乗り越えるために必要なこと

三凛さんは、成人した子どもに対する悩みの乗り越え方についてもアドバイスしています。

子どもの人生と自分の人生を切り分ける

「この子がこうなってしまったのは、親である私の責任だ」と自責の念に駆られる方は少なくないでしょう。その思いは、言動の随所から子どもにも伝わると三凛さんはいいます。

子どもが「自分がこうなったのは親のせいだ」と考えるようになると、自分の人生の責任を自分で取れない人になってしまうことも。「あなたの人生なんだから、あなたが自分でどうにかしなさい」くらいの距離感でいたほうが、お子さんの自立はうながされるのかもしれません。

子どものことを心から信じる

親にとって、子どもは子ども。0歳の赤ちゃんでも、成人しても、ずっとかわいく大切な存在です。しかし、過保護になってはいけません。「私がレールを敷いてあげないと」とあれこれ世話を焼いていると、お子さんが自立できないだけではなく、無力感や劣等感を持つことも。

「子どものことを心底信じることが大切」だと三凛さん。そうすることで、子どもへの声かけや態度が変わります。すると、徐々に子どもの意識も変わっていくはずです。

親自身が自分の人生を生きる

子育てがひと段落したら、親は親の人生を楽しみましょう。「子どもがいるから」を理由に我慢していることはありませんか?

我慢している背中を、子どもはしっかり見ています。「やりたいことがあっても我慢するべき」というように、その姿勢が擦り込まれかねないので注意しましょう。子どもが手を離れる年齢になったら、親はもう自分の人生を楽しんで良いのです。その姿を見た子どもには、同じように好奇心やチャレンジ精神が芽生え、自分の人生を切り開いていくはずです。

1、乳児はしっかり肌を離すな
2、幼児は肌を離せ、手を離すな
3、少年は手を離せ、目を離すな
4、青年は目を離せ、心を離すな

……というアメリカインディアンの名言「子育て四訓」のように、子どもの年齢に応じて適切な距離を取りながら子どもの可能性を信じてあげると、想像以上に大きく羽ばたくかもしれませんよ。

<参考資料>
PR TIMES(合同会社serendipity)