女子SPA!:2023年2月1日掲載
家族仲がボロボロの家庭で育った女性。
ある日母親に連絡、衝撃の事実を知る
「家族は仲良く」が“是”とされがちな世の中ですが、人によっては、その「家族」がメンタルを不安定にさせることもあります。 「家族との居心地が良くなかった」と言う喜田川さん(仮名・43歳)も、家族との仲に悩む一人。機能不全状態の家庭との距離の取り方に「迷いがある」と言います。
喜田川さんの家は自営業で、小売店を営んでいました。4人きょうだいで、喜田川さんは3番目。家族の人数は多かったものの、関係性は冷え込んでいました。
「家族経営で、両親やきょうだいは常にお店に出ていたので、食事は一人でとれる時にとるという感じ。家族だんらんという機会はなかったです。みんなお互いに興味がなく、近づくと冷たくされて傷つくだけなので、仲良くしないようにしていました」
母親とは唯一会話をしていたものの、父親とは話が成り立たない違和感があったのだとか。 「父親は、客商売をしていたにもかかわらず、全く会話が成り立たない人でした。お客さんに対して失礼なことを言ったり、普通に会話をしていたと思ったら突然返答がなくなったり。なんらかの発達の疾患があるのではないかと疑っています」
両親だけでなく、きょうだい同士も関わりがなく、距離があったのだとか。
「若い頃、兄と妹は引きこもっていて、部屋から出てきませんでした。両親も特に何か対処をすることはありませんでしたし。今思えば、私の家はいわゆる『機能不全家族』だったんだと思います」
高校を卒業し、専門学校の入学を機に上京してから、喜田川さんは家族との連絡が激減。そもそも、家族に対して執着がなかったため、疎遠になり始めました。
とはいえ、血のつながった間柄。連絡しなければならないこともあるはずです。しかし、家族はそのラインを逸脱していたと、喜田川さんは家を出て初めて知りました。
「母とは時々連絡を取ってはいたのですが、大事なことを共有してくれず、驚きの連続でした。一番衝撃だったのは、祖父や祖母が亡くなったことを、亡くなった当日に連絡してきたこと。特に母方の祖母とは毎年会うほど仲良くしていたので、亡くなる前に会いに行きたかった……。それからはもう実家に帰りたくなくなりました」
さらに、父親ががんになった時も、手術して退院してから初めて連絡があったのだとか。家族の一大事にも連絡がないことで、すっかり信用を失ってしまいました。
今も、両親やきょうだいと連絡は積極的に取っていない喜田川さん。「関わらない方が精神的に楽」と言います。
「友人に実家の話をすると、『家族なんだから仲良くしないと』と言われたりしますが、正直、放っといて!と思ってしまいます。感情を入れて向き合うと、腹が立ってしまうので、あえて家族のことは考えたくありません」
友達のようにフランクに接してくれる、自分の夫の家族の方が居心地がよく、コミュニケーションが取れているのだとか。 「このまま実家と連絡を取らないでいられるならそのままでいたいですが、家族ではなく、自分に問題があるのでは?という思いもあります。頑張って向き合った方がいいのでしょうか……」
親子関係心理学の専門家で、著書に『親子の法則人生の悩みが消える「親捨て」のススメ』がある三凛さとしさんによると、「価値観の違いを受け入れる必要がある」と言います。
「無意識に『家族だから同じ価値観や方向性を持っているだろう』と考えがちですが、同じ環境で育ったきょうだいでも全く同じ価値観にはなりません。考え方が違う人を否定せず、『こういう人なんだ』と違いを認めてみましょう」 また、周囲の言葉に流されて、無理に付き合い続ける必要もない、と三凜さんは言います。
「周りに何を言われても、大事なのはあなたの気持ち。夫の家族との居心地が良いのであれば仲良くすればいいし、合わない実家とは割り切って付き合えばいいのです」
世間としても“多様性”が叫ばれていますが、家族間でも「価値観が違って当たり前」と気づくことで、心が楽になるのかもしれません。
<三凛さとし 取材・文/女子SPA!編集部>
※Yahoo!ニュース、マイナビ子育て等、多数のニュースサイトに掲載されました。