FRIDAYデジタルの記事がYahooニュース他にも転載されました。:2024年11月15日掲載
「僕は10年ほど前に、ファッションデザイナーを目指してアメリカへ渡り、現在はポルトガルを拠点に、年間10ヵ月程は海外で暮らしています。いろいろな国を見て渡り、日本人だけが自分自身が経済的に豊かになることに対して前向きではないと気づきました」
そう話すのは、富とお金のメンタルトレーナー・三凛さとし氏だ。 書店にはキャリアデザインや資産運用系のノウハウ本がいくつも並んでいるが、彼は自身の著書の中で、「資産を増やす方法を学んでも上手く増えない原因は、心の奥に根付いた『お金のメンタルブロック』のためだ」と説いている。 「お金のメンタルブロック」とは何なのか?
世界中を行き来する生活をしている三凛氏は、日本人が持つ「お金持ちに対する意識」が他の国とは違うと指摘する。
「アメリカやヨーロッパでは、セレブは嫉妬の対象でもありますが、日ごろから経済を回し、多額の寄付をしている一面も知っているため、憧れの対象でもあります。
一方、日本の場合は経済的に成功している人に対しては『怪しい商売をしているのでは?』『人を騙してお金儲けをしているのかも』といった見方をされることが多いですよね。
日本人がお金持ちになりにくいのは、お金を稼ぐことや経済的に成功している人に対して悪いイメージを持っているためです。この先入観が、知らず知らずのうちにお金持ちになろうとする自らの行動を制御してしまいます。これが『お金のメンタルブロック』の正体です」
三凛氏がお金のメンタルブロックの存在に気づいたのは、自身のキャリアアップが上手くいかなかった苦い経験にある。
「心理学では『認知的不協和』と呼ばれる状態があります。これは顕在化している自身の欲求に対して、気持ちと行動が一致していない状態を指します。
つまり、お金をたくさん稼ぎたいと思っているのに、それに行動が伴わないと、人はストレスを感じるのです。僕は、これをお金・仕事の面で経験しました。
10年前に、ある起業塾へ入ったのですが、僕よりも若くて社会経験が少ない人たちが軽々と行動して成果を上げているのに、僕は全く成果が上がらなかったんです。それを目の当たりにして、成果を出せるかどうかは、行動を起こす覚悟や前向きさ、人間性や器の大きさといったメンタル面が関係していると気づいたんです」
ファッションデザイナーを目指していたが、思うような成果を上げられずに悩んでいた時に、このメンタルブロックの存在に気づいた三凛氏。そこから、デザイナーの傍らで友人らに無償で行っていたコーチング業をメインに据えて、カウンセラーとして本格的に始動した。
「私個人がメンタルブロックを外すために行ったのは、本書にあるようなワークとマインドセットです。具体的には、富裕層と呼ばれる方々に直接会いにいきました。
というのも、その人の持つ考えや常識といったものは、置かれた環境や人間関係によって形成されます。
仮に、稼ぐことに苦手意識を持っていて、『月30万稼ぐのもやっと』という人がまわりに多いと、自然と自分も同じ世界線で生きていると認識し、同じぐらいの額のお給料の中で節約しながら生きようとするのです。
この考えや常識を取っぱらうために、その時に憧れていた富裕層の方が出演するイベントに参加したり、コンサルを受けたりしました」 多忙なサラリーマンにとって、環境を変えることは難しそうに思えるが、実は異業種交流会などに行くだけでも十分だという。
「参加者の中には、普段は接することのない職種の人もいれば、経営者もいます。そういった人たちと付き合うことで、考え方や常識に変化がうまれる可能性がありますし、視座が高くなったり、自身のキャパシティーが広がったりすることも期待できます」
スポーツ界でも同じことが言われている。本来の自分の実力よりもレベルの高い環境に身を置くことで、後付けで自身のレベルが上がるのだそう。
「心理学でも、まわりの人たちと同じような行動をするようになるというエビデンスがありますし、現状よりもレベルの高い環境に身を置くことは、ビジネスにおいても人生においても有効的なのだと思います」
お金のメンタルブロックを外したことで、お金や稼ぐことへのイメージが変わり、事業も順調に拡大しはじめた三凛氏。
「それまでは、『お金は生きるために必要なもの』ぐらいの認識でしたが、お金は稼げば稼ぐほど、徳を積んでいるのと同じことだと考えられるようになり、『お金は大人の通信簿』という捉え方に変わりました。
お金を稼ぐことは、世の中にいいことをして『ありがとう』と言われることです。しかも、お金を稼ぎ続けることで、雇用を生みます。雇用を生むということは、自分以外の人たちの生活を支えるということです。そう考えると、お金を稼ぐことはすごく尊いことだと思えてきませんか?」
三凛氏のコーチング受講生においても、お金のメンタルブロックを外し、稼ぐことの意義に気づいた人から、お金の不安がなくなり、人生の可能性が広がっていくのだという。
「そもそも、メンタルブロックがかかった状態で自分の人生の可能性を思い描いているので、本来のポテンシャルからすると、とても小さな夢だったりします。
メンタルブロックを外すことで、目標に向けて前向きに取り組めるようになり、自信もついてくるので、自然と人生の可能性が広がり、夢も大きくなっていくのです」
お金のメンタルブロック外しはメリットしかないように思えるが、ひとつだけ無視できないデメリットもある。それは、人間関係の変化だ。
「お金のメンタルブロックを外すと、まわりの人たちと話が合わなくなります。今の日本には、お金や稼ぐことに悪いイメージを持つ人のほうが多いので、こればかりは仕方がありません」
お金のメンタルブロックが外れた人は、収入を2倍3倍にしようと行動するのだが、今の日本人のほとんどは、毎月の給料の中でやりくりしようと考え、「収入を増やそう」という発想はしないのだと三凛氏。
しかし、まわりと話が合わなくなり、友人が減ることを覚悟してでも、お金のメンタルブロック外しをしてほしいと話す。
「個人的な意見なのですが、お金のメンタルブロックを外すことで、働くことへの喜びを感じてほしいと思っています。
さまざまな調査からも、他の主要国に比べて日本人は、お金を稼ぐことや働くことに対して消極的だとわかっています。『働いたら負け』という言葉が流行するくらい、働くことに疲弊しているのでしょう。
しかし、他の主要国や発展途上国では、大多数が働くことに積極的ですし、自分の将来や国の未来に対しても前向きです。
『言うは易く行うは難し』とは言いますが、少しでも多くの人にお金のメンタルブロックを外していただき、働くことを楽しいと思い、お金を稼ぐことを素晴らしいと感じ、みんなで明るい未来を作っていける。そんな強い国になってほしいですね」
物価高騰に増える税負担、年金問題のほかに少子化や高齢化など、さまざまな経済的不安要素を抱える日本。そんな中でアメリカ大統領選も終了し、世界的に大きな変化が予想される。個人での資産確保は、ますます重要となっていくだろう。
取材・文:安倍川モチ子
WEBを中心にフリーライターとして活動。また、書籍や企業PR誌の制作にも携わっている。専門分野は持たずに、歴史・お笑い・健康・美容・旅行・グルメ・介護など、興味のそそられるものを幅広く手掛ける。
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