日刊SPA!に「30代でFIREを達成したのに「幸せになれなかった理由」。経験者が語る“セミリタイアの落とし穴”」が掲載:2024年8月28日

30代でFIREを達成したのに「幸せになれなかった理由」。経験者が語る“セミリタイアの落とし穴”


皆さん、こんにちは。メンタルトレーナーの三凛さとしです。私は20代で借金と挫折を経験し、その中でメンタルトレーニングの重要性に気づきました。その後、ビジネスに成功し、30代で一度FIREを達成。その体験などをもとに「人生を好転させるヒント」をSNSで発信しています。

 日刊SPA!では「ストレスなく生きていくための方法」をお伝えできればと思っております。連載第2回となる今回は「30代でFIREを達成しても幸せになれない理由」について、お話していきます。

なぜ、多くの人はセミリタイアしても幸せになれないのか

昨今、「セミリタイアして悠々自適な生活をしたい」「仕事をしてお金を稼がなくても不安のない人生を送りたい」と思う人は年々増えているように思います。現時点でも、セミリタイアやFIREという夢に向かって、一生懸命努力している方も多いかもしれません。

 ただ、冒頭から夢のない話で本当に申し訳ないのですが、はっきり言わせてください。残念なことに、若いうちにセミリタイアをしても、多くの人は幸せにはなれません。

 なぜ、多くの人が憧れるセミリタイアを実現しても、幸せになれないのか。今回は、30代でセミリタイアを果たしたものの、数か月で仕事に復帰した私の実体験を通じて、その理由を解説させていただきます。

 

25歳で退職し「セミリタイア」を志す

 私がセミリタイアを考えるようになったのは、25歳ぐらいの頃です。新卒で入った会社で将来に希望が持てなかった私は、入社3年目で退職し、「アメリカでファッションデザイナーになる!」という壮大な夢を描いて、NYへと渡りました。

 しかし、無計画にもアメリカに乗り込んだ先に待っていたのは、とてつもない極貧生活でした。ドブネズミが走る縦1.5メートル横幅1メートルほどの小さな木箱の中に住みながら、バーテンダーとして働いて日銭を稼ぐ日々は、今思い出しても本当にキツかったです……。

 さすがのド底辺生活に危機感を抱き、「仕事やお金に囚われず、経済的に自立したい。セミリタイア生活をめざそう!」と一念発起。3年間必死で試行錯誤した末、寝ていても遊んでいても収益が上がるようなビジネスの仕組みを構築することに成功します。そこから年間1億円ほどの利益が入るような状況になり、いよいよ私は念願のセミリタイア人生をスタートさせたのです。

 

まったく楽しくなかったセミリタイア人生

憧れのセミリタイア生活は、最初はとても気ままで楽しいものでした。好きなときに好きな場所に行ける。もともと海外生活が好きだった自分にとっては、理想的な生活でした。

 しかし、数か月ほどすると、徐々に異変が現れ始めます。

 何をしても、楽しくない。毎日、生きている実感が得られない……。

 気が付くと、あれほどまでに憧れていたセミリタイア生活よりも、「セミリタイアしたい」と頑張っていた日々の方が懐かしさを感じてしまうようになりました。その時点で、セミリタイア生活がほとほと嫌になっていたのだと思います。

 当時の私は、毎日のように「自分は何をしたらいいのか」と考えながら、ただフラフラと海外に行って、一見楽しそうに見える写真を撮影しては、SNSに投稿するだけの日々を続けていました。

 

目標を失ったことで人生が不幸に…

 夢のセミリタイアを実現できたのに、どうしてこんなに楽しめないのか。悩み続けた結果、その理由は、自分自身が「セミリタイアをする」という大きな目標を失ったからだと気が付いたのです。経済的な自由は得たものの、目標がなくなったことで、毎日なにを目指して生きればよいのかわからなくなっていたのでしょう。

 実際、私と同じようにセミリタイアを達成した人に会ってみても、一時は満足しても、人生の目的を見失い、以前よりも表情が暗くなった人ばかり。いまだに「セミリタイアしたいまが、人生で一番幸せ!」と笑顔で答える人には、ほぼ出会ったことがありません。

 

日々新しいことに挑戦することが本当の幸せ

 では、どうしたら自分は幸せになれるのか。それを考えるべく、私は自分の過去について振り返ってみました。すると、セミリタイアをめざして日々新しいビジネスを考えたり、自分が世の中に提供したものを喜んでもらったりしたときこそが、もっとも幸せな瞬間だったなと気が付いたのです。

「自分は、日々目標をもって、新しいことに挑戦して、人から喜ばれることが幸せなんだ」

 そう気がついた私は、再び仕事を始めるようになりました。最初は、「とはいえ、本気で仕事を始めたらしんどいよな」「やることも増えるし忙しくなるのも嫌だな」との思いがあったため、どこか本気で仕事には打ち込めていなかったように思います。

 しかし、中途半端に仕事をしても、中途半端な結果しか得られないため、なかなか楽しくなれない。「自分に負荷をかけないと、幸福感は高まらないのかもしれない」と気がついてからは、セミリタイア前よりもさらに毎日全力で仕事に打ち込むようになりました。

 また、セミリタイア前と大きく変わったのが、楽をすることに興味がなくなり、純粋に仕事を生きがいだと感じるようになったことです。昨今日本では「好きなことで生きていく」ということや「FIRE(経済的自由の実現)」といったキーワードがとても人気ですが、これは多くの方は極力自分は面倒なことをせず楽をして良い思いをしたいと思っているからです。

 しかし、楽をしたいと思っている状態というのは「仕事=面倒なこと、嫌なこと」だと本質的に信じてしまっているということなので、これは本質的には不幸なことなんだと私は結論づいています。

 一度セミリタイアして良かった点は、楽することを目指して生きるよりも、世の中や他者から少しでも喜んでもらえるように試行錯誤する生き方の方が魅力的だと気づけたところと、自分もそうなりたいと思えるようになったところだと感じています。

 

社会貢献する人が憧れられる世の中になってほしい

経済的自立を果たし、セミリタイアやFIREをめざすこと自体は、まったく否定するつもりはありません。ただ、経済的な自立は、あくまで「自分の納得のいく人生」を歩むうえでの通過点にしか過ぎないと思います。

 問題は、その先に自分がどんな人生を望むかです。「セミリタイアで悠々自適の生活をしたい」という目標だけを追いかける人は、いざ達成した途端に、人生の目的を失ってしまいます。それこそ、かつての私のように。

 では、仮にセミリタイアを実現したら、どんな目標を持つべきなのか。そこで私が提案したいのは、「自分にとって新たな挑戦となる仕事をすること」です。やはりある程度自分に負荷をかけないと人生は停滞していくからです。

「仕事をしたくなく、暇になりたいからセミリタイアするのだ」という人にとっては矛盾を感じるかもしれません。でも、挑戦や成長のない人生ほど生きている手応えが感じられないものはありません。

 最近注目されているカリフォルニア大学の研究においても「1日の自由時間が5時間以上ある人は精神的に病みやすくなる」という結果が出ていますが、これはまさにセミリタイヤして暇になった人が幸福度を落としてしまうエビデンスの1つです。

 これまで私は数多くの幸せな億万長者を見てきましたが、その共通点は「豊かで幸せな人は仕事が大好きだ」ということです。そして仕事が大好きだから結果が出るんですね。

 結果を出すから豊かになる。そして、経済的に豊かになっても、仕事は好きだからずっと続けていき、その仕事が周囲の人に感謝され、その感謝がモチベーションとなる。こういった好循環が生まれている気がします。

 逆説的な話ではありますが、「仕事が嫌いだ」と言っている人ほど、いつまでも経済的自立は実現できないのではないでしょうか。

 現在、日本では「会社や仕事が嫌だ」と感じる人が多く、FIREやセミリタイアを実現した人を尊敬する風潮も根強いです。でも、FIREする人ばかりが増えると、経済も停滞するし、いまよりもっと夢のない未来が待ち受けています。

 だからこそ、セミリタイアする人に憧れるのではなく、経済的自立を果たしてもなお、仕事や事業を通じて世の中に貢献するような“本当に豊かな人”たちが、世の中で憧れの存在になってほしいなと、心から思っています。

文/三凛さとし

日刊SPA!に「30代でFIREを達成した経営者が語る「好きなことで稼ぐための3つのコツ」」が掲載:2024年7月31日

30代でFIREを達成した経営者が語る「好きなことで稼ぐための3つのコツ」


皆さん、こんにちは。メンタルトレーナーの三凛さとしです。私は20代で借金と挫折を経験し、その中でメンタルトレーニングの重要性に気づきました。その後、ビジネスに成功し、30代で一度FIREを達成。その体験などをもとに「人生を好転させるヒント」をSNSで発信しています。

 日刊SPA!では「ストレスなく生きていくための方法」をお伝えできればと思っております。連載第1回となる今回は「自分が好きなことを仕事にするための心得」について、お話していきます。

会社員はデメリットが多いのか?

いまの世の中、自分の働き方に不満を持つ方は決して少なくないでしょう。ライフコーチとして活動する私のところにも、日夜、働き方についての質問が寄せられます。特に多いのが、会社員の方からの悩み相談です。

「会社を離れ、三凛さんのように自由に働きたいのですが、どうしたらいいですか」
「今の仕事に不満があるので会社を辞めたいのですが、好きな仕事をする方法はありますか」

 でも、こうした相談が寄せられた際、私はひとつの質問をするようにしています。

「現状を変える前に、ひとつ考えてみてください。会社員としての生活は、本当にデメリットばかりだと思っていますか?」と。

 私自身は起業家という道を歩んでいますが、日本でサラリーマンという働き方を選ぶことは、決して悪い選択ではないと思っています。なぜなら、日本の会社員は法律的にも非常に守られた存在だからです。

 

デメリットの裏にはメリットが隠れていることも

 たとえば、仮にあなたがなにか仕事でミスをしたとしましょう。結果、会社に損害を与えても、自分がその損害を被る必要はありません。また、その後の対処策についても、会社のだれかが決めてくれます。

 私はいつも「自由と責任はセットである」と考えています。仮に自由を求めて起業家になった場合は、経営方針を自分ひとりで決めなければなりません。そして、自分ではリカバリーできない大損害が発生した場合は、廃業したうえに負債を背負うこともあります。その点、会社員は大きなメリットを享受しているので、不自由さや窮屈さがあってもある程度は仕方がないとも考えられるわけです。

 たとえば、私のSNSを見た方から、「海外で悠々自適に暮らしていいよね」との声を寄せられることがあります。でも、すべてのインフルエンサーがそうだと思いますが、SNSで公開しているのは、あくまで生活の良い部分を切り取っているにすぎません。

 人生は、すべてトレードオフです。私はこれを「陰陽思考」と呼んでいるのですが、楽な部分しかない人生はありえないし、楽しい部分がある分、苦痛だってたくさんあります。だから、いまご自身がデメリットだと感じている事柄の裏には、何かしらのメリットが隠れている可能性が極めて高いのです。

仕事のメリットとデメリットを書き出してみよう

いま「仕事が嫌で辞めたい」「もっと違う仕事がしたい」という人は、まずはメリットとデメリットの両方を紙に書き出してみてください。なお、この作業は手書きでお願いします。米プリンストン大学とカリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)の研究によれば、ノートを手書きで取る方が、パソコンで取るよりも記憶の定着率が高いという結果もあるので、できれば手書きで整理してみてほしいです。

 メリットとデメリットを書きだした末、それでもあなたが「自分は他人に何かをやらされている感覚を持たずに生きていきたい」と思うのならば、起業という選択肢が生まれます。その場合、次のステップへと移りましょう。

 

自分が好きなことを仕事にするためのコツ

 では仮に、ご自身が「起業したい」「副業したい」などと思った場合、どうやって仕事を探すべきなのでしょうか。せっかく起業するならば、会社のように「やらされている感」がない仕事を選んでほしいと思います。

 多くの人は、プライベートと仕事を分けすぎる傾向があります。でも、仕事のなかに好きな要素が増えていくと、仕事の時間でも「仕事感」がなくなっていくことでしょう。そうなると自分が好きなことをやっている感覚しかなくなるので、毎日が楽しくなります。

 私の場合は仕事時間が十分楽しいので、プライベートの時間が欲しいなんて全然思いません。仕事をしているのが幸せで、仕事は趣味であり、生きがいでもあるという状況です。

 たとえば、私はタイのプロサッカーチームの移籍ビジネスを手掛ける仕事をしています。このビジネスを始めるきっかけは、私自身タイが好きで、サッカーも日本でサッカーの試合のスポンサーをやるくらい好きだから。プライベートと仕事の境目がなく、起きている間は全部仕事をしていても、遊んでいる感覚すらあります。

 

自分の好きな仕事を探す方法

 とはいえ、「自分が好きな仕事を探すことが難しい」という方もいるでしょう。では、自分の好きを仕事にするにはどうしたらいいのか。その中で、おすすめの方法は「自分が“この人の働き方や人生はうらやましい”と感じる人を探すこと」です。「この人の働き方はいいな」「この人の自由さが素敵だな」「この人はたくさん周囲に人がいてうらやましいな」と思える人を探しましょう。

 いまの時代はSNSで自分の生活をさらけ出している人も多いので、自分が「いいな」と思う人のサンプルはたくさん見つかるはずです。

 

憧れの人を分析することが大切

 もし見つかったら、次にやっていただきたいのが、「どうやってその人がその場所にたどり着いたのかを分析すること」です。

 たとえば、私の場合、最初にライフコーチを目指すきっかけとなったのは、SNS上で見かけたアメリカに住んでいる日本人のライフコーチの方がでした。その生き方が素敵だなと思ってからは、「具体的にその人はどんなことをしているのか」を観察するようになったのです。その方の集客方法や発信方法、扱うテーマやビジネスモデルのやり方を見よう見まねで取り入れた結果、現在に至っています。

 以上が「自分が好きなことを仕事にするための心得」です。今後も、私の体験談をもとに、ストレスなく生きていくためのコツをお届けしていきますので、少しでも参考にしていただけると幸いです。

文/三凛さとし

THE GOLD ONLINEに「老後は国をあてにしないでください…。新NISAスタートの裏側に潜む「真のメッセージ」とは?」が掲載:2024年11月1日

老後は国をあてにしないでください…。新NISAスタートの裏側に潜む「真のメッセージ」とは?


大企業に就職すれば安泰という時代は終わり、今では新NISAの創設をはじめ、個々人の資産形成力が国からも求められる時代となりました。本記事では、15万人に「お金の最適解」を教えてきた三凛さとし氏の著書『金のなる本 誰でも再現できる一生お金に困らない方法』(KADOKAWA)より一部を抜粋・再編集して、お金を「もらう」のではなく「つくる」時代の生き方について解説します。


お金は「もらうもの」ではなく「作り出すもの」

日本では今後も年金をあてにできない状況が続き、退職金制度も縮小していき、人口減少によって内需も労働力も減っていくでしょう。労働力が減っている割には正社員として働ける場所は少なく、非正規雇用ばかりが増えているという現実もあります。その事実に目を背けてはいけません。

 

そうした中でもお金持ちになる人はいます。年金問題や円安の不安などがつきまとう一方で、現在は投資ブームも巻き起こっています。その発端となったのは、2024年1月、少額投資非課税制度・NISA(ニーサ)の非課税枠が拡充されたことでした。

 

通常であれば、投資で得た売却益や配当などの利益には所得税15.315%(2037年までの復興特別所得税含む)、住民税5%の合計20.315%が課せられます。例えば、株式投資などで100万円の利益があったとしても、税金20万3,150円が引かれるので、手取りは79万6,850円になってしまうのです。

 

ところが、NISA口座で売買した金融商品に関しては非課税になるため、100万円の利益から税金が引かれることなく、丸ごと100万円を手にできるというわけです。

 

大変ありがたい制度ではあるのですが、どうして政府は今このような制度を創設したのでしょうか。「そうでもしなければならない切実な理由があったから」と考えるのが妥当でしょう。

 

つまり、「年金財政の悪化や人口減少等の影響で国はこれまでのように、国民の老後の面倒を見ることは難しくなった。その代わりに有利な資産形成のしくみを作ってあげるから、各自で老後資金作りの努力をしなさい」ということです。

 

国をあてにできない時代、お金に関する意識を変えることが必要

 

組織に属していれば安泰だった日本。それこそ昔から続く伝統で、圧倒的多数を占めた農民は村落共同体というコミュニティで相互に助け合う「相互扶助」が一般的でした。また、武家社会では殿様に忠義を尽くすことで一生面倒を見てもらうことができました。そして戦後、多くの会社ができて勤め人が増えてからは、会社と国が守ってくれていました。

 

しかし、そんな「日本人として一般的な生き方」が、今できなくなりつつあります。お金は会社や国から「もらうもの」ではなく、自分の手で「作り出すもの」と認識を改めなければならないタイミングが、まさに今なのです。

 

ちなみに私は、今までの日本が過保護すぎたのではないかと感じています。国に余裕があるうちはそれでも問題化することはありませんでした。でも、もう国にそこまでの余裕がなくなってしまいました。1990年代初頭のバブル経済崩壊後、「失われた30年」と言われる底なしの不況に入りました。

 

この間、日本経済の主要な経済指標である「日経平均株価」は著しく下落。ようやくバブル経済前の最高値を超えるには2024年まで待たねばなりませんでした。

 

ほかの国ではこの30年の間にぐんぐんと経済成長を果たしていったというのに、日本だけが不況からの回復が遅れてしまったのです。それが「老後は国をあてにしないで」というメッセージの要因だと思います。

 

今すべきことは、これまでのお金に関する意識を変えていくことです。

 

大企業に就職すれば安泰の時代は終わりました。とはいえ、逆に現代では頭を使って時流をうまくつかみ、自分の特技と結びつけることによって一発逆転することも可能になっています。誰もがインターネットを通じて世界中に自由に発信することができる時代なのですから。むしろ、そうした生き方をしていったほうが、これからますます厳しくなっていく時代を乗り切っていける可能性は高いと言えます。

 

まずは意識を変えるためのきっかけをつかみましょう。

 

三凛 さとし

THE GOLD ONLINEに「仕事に熱心に取り組んでいる人はたったの「6%」?日本人のモチベーションの低さがもたらす弊害とは」が掲載:2024年10月25日

仕事に熱心に取り組んでいる人はたったの「6%」?日本人のモチベーションの低さがもたらす弊害とは


アメリカ・ギャラップ社の国際調査によると、「仕事に熱心に取り組んでいる」と答えた日本人はわずか6%。調査対象となった約140の国の中でも最低レベルの数値だといいます。本記事では、15万人に「お金の最適解」を教えてきた三凛さとし氏の著書『金のなる本 誰でも再現できる一生お金に困らない方法』(KADOKAWA)より一部を抜粋・再編集して、日本人の仕事へのモチベーションの低さやそれがもたらす弊害について解説します。


「失われた30年」―日本人の心理的変化と驚くべき国際比較

1990年代初頭のバブル崩壊から30年以上が経過しましたが、日本経済は未だに本格的な回復を果たせていません。この長期停滞の根底には、日本人特有の心理的要因があると考えられます。

 

特筆すべきは、日本人の仕事へのモチベーションと自己肯定感の低さです。国際比較調査によると、日本は先進国の中でも際立って低い数値を示しています。特に衝撃的なのは、アメリカのギャラップ社による国際調査結果(2023年)です。この調査によると、日本人で「仕事に熱心に取り組んでいる」と答えた社員はわずか6%に過ぎませんでした。

 

これは調査対象となった約140の国のうち、最低レベルという驚くべき結果です。世界平均の23%と比較しても、日本人の仕事へのモチベーションの低さが際立っています。この数字は、日本の労働生産性の低さとも一致します。OECD(経済協力開発機構)の調査によれば、日本の労働生産性は加盟国中で下位に位置しており、G7諸国の中では最下位です。

 

また、自己肯定感についても同様の傾向が見られます。内閣府の調査によると、「自分に満足している」と答えた日本の若者の割合は45.1%で、アメリカ(87.0%)、イギリス(80.1%)、フランス(85.8%)などと比較して著しく低い数値となっています。

 

一方で、この30年間で経済成長を遂げた国々、例えば韓国や中国、そして一時的な停滞から回復したアメリカなどでは、仕事へのモチベーションや自己肯定感が比較的高いことが各種調査で示されています。

 

例えば、同じギャラップ社の調査では、アメリカの「仕事に熱心」な社員の割合は33%、中国では19%、韓国では13%と、日本の6%を大きく上回っています。これらの国々では、チャレンジ精神や自己実現への意欲が高く、それが新たな産業やイノベーションを生み出す原動力となっています。

 

韓国のIT産業や中国のテクノロジー企業の台頭、アメリカのシリコンバレーにおける継続的なイノベーションなどは、その現れと言えるでしょう。日本がバブル崩壊から真の意味で立ち直れていない大きな要因は、こうした仕事へのモチベーションと自己肯定感の低さにあると考えられます。

 

「どうせうまくいかない」「自分には無理だ」という思考パターンが、個人レベルでの成長を妨げ、それが集積して社会全体の停滞につながっているのです。この状況を打破するためには、個人レベルでの意識改革が不可欠です。

 

自己肯定感を高め、失敗することを恐れず、前向きな姿勢で挑戦することの価値を再認識する必要があります。それは単に個人の幸福のためだけでなく、日本経済全体の活性化にもつながるのです。

 

メンタルブロック(私たちの心の中に無意識のうちに形成される目に見えない障壁)を解消することは、まさにこの課題に対する1つの解答となるでしょう。自分自身の価値を信じ、お金や成功に対する健全な関係性を築くことは、個人の豊かさだけでなく、日本社会全体の再生にも貢献する可能性を秘めています。

 

他国の成功例から学びつつ、日本固有の文化や価値観を活かしながら、新たな成長モデルを構築していくことが求められています。そのためにも、まずは個人レベルでの意識改革、特に自己肯定感の向上と仕事へのモチベーションの回復が重要となるのです。

 

三凛 さとし

THE GOLD ONLINEに「親が抱えたお金の悩みが子どもへと連鎖する?データが示す「収入と貯金」への影響」が掲載:2024年9月13日

親が抱えたお金の悩みが子どもへと連鎖する?データが示す「収入と貯金」への影響


子どもの頃に見た「親がお金で困る姿」。それがいつしか大きなメンタルブロックとなって、収入や貯金に影響を与えることもあるといいます。本記事では、延べ15万人に「お金の最適解」を教えてきた三凛さとし氏の著書『金のなる本 誰でも再現できる一生お金に困らない方法』(KADOKAWA)より、一部を抜粋、再編集して、親から子どもに連鎖する「お金の悩み」について詳しく紹介します。


親が抱えたお金の悩みが子どもへと連鎖する?

子どもの頃に「親がお金で苦労する姿」を見て育った人は、成人してから金銭的な面でさまざまな悩みに直面する傾向があります。経済格差の連鎖には、教育への資金の多少に加えて、メンタル的な要因も大きいというのが私の考えです。

その相関関係を調べるために調査を実施しました。30歳以上60歳未満で、子どものいない未婚の男女、全国1,688人にインターネットでアンケートを行ったものです(2022年、合同会社serendipity調べ)。

まず、「幼少期に見た、お金に対する親の様子」に関する質問結果から、親がお金に苦しむ姿を「見てきた」グループ(692人)と、「見てこなかった」グループ(305人)を抽出。各グループの年収、貯金額、お金の悩みを比較しました。

年収について、明確な差が表れたのは「0円~300万円未満」の人と、「500万円~1,200万円未満」の人でした。低収入と言える前者では親がお金に苦しむ姿を「見てきた」人の割合が多く、高収入と言える後者では「見てこなかった」人が2倍ほどの割合になりました。

この結果から、幼少期に親がお金に関することで苦しむ姿を見て育った人は低収入になる傾向があり、表現を変えれば「高収入になることができない」傾向があると言えます。

貯金の有無にも同様の傾向が見られました。「貯金がない」と答えた人の割合は、親がお金に苦しむ姿を「見てきた」グループ(23.4%)と、「見てこなかった」グループ(13.1%)を比べると、約1.8倍もの差がありました。

 

「収入」と「貯金」にも影響

最後に、お金の悩みに関する質問についても紹介しましょう。悩みの内容に関して、2つのグループで特に顕著な差が表れたものは、「収入が思うように増えない」と「貯金ができない」でした(図表1)。

[図表1]

収入が増えない悩みを持つ人は「見てきた」グループで46.0%、「見てこなかった」グループで27.9%。貯金ができない悩みを持つ人は「見てきた」グループで39.0%、「見てこなかった」グループで24.9%となりました。

親がお金に苦労する姿を見て育った人は、収入と貯金という経済的に重要な2つの面に大きな影響が出ることがデータでも確認できたと言えます。

私のお金に関するメンタルブロック(※)の形成に大きな影響を与えたのは、高校生のときのつらい経験でした。両親が離婚した後、私と弟の養育費を巡って、父と母が激しく争う場面に幾度となく遭遇しました。そして、その仲裁役を私が担わされることになったのです。

父が養育費を渋っているように感じられ、「自分は十分なお金を払ってもらえないくらい価値のない存在なんだ」という思い込みが心に刻まれていきました。この経験は私の自己肯定感を大きく低下させ、人生を前向きに捉えることを難しくさせました。

同時に、両親がお金を巡って争う姿を目の当たりにしたことで、「お金は人を意地悪にし、性格を悪くする怖いもの」というイメージが強く植えつけられました。この恐怖感は、長年にわたって私のお金に対する態度に影響を与え続けました。

お金を持つことへの無意識の抵抗感や、経済的成功を追求することへの罪悪感は、ここに起源があったのです。

 

※メンタルブロック…私たちの心の中に無意識のうちに形成される目に見えない障壁のこと。「自分には無理だ」「お金を持つことは悪いことだ」「成功するのは一部の人だけだ」といった否定的な信念や思い込みは、典型的なメンタルブロックの例です。結果として、個人の潜在能力の発揮を妨げ、人生の重要な機会を逃す原因となることがあります。

三凛 さとし

ライフコーチ

THE GOLD ONLINEに「お金持ち=悪者?日本人の根底に潜む「相手に得をさせたくない」「出る杭は打つ」という心理」が掲載:2024年9月27日

お金持ち=悪者?日本人の根底に潜む「相手に得をさせたくない」「出る杭は打つ」という心理


日本人には「お金持ち=悪者」という刷り込みがあるように思う……。そう語るのは、15万人に「お金の最適解」を教えてきた三凛さとし氏です。本記事では三凛氏の著書『金のなる本 誰でも再現できる一生お金に困らない方法』(KADOKAWA)より一部を抜粋、再編集して、日本人のお金持ちに対する考え方や、それがもたらす影響について紹介します。


日本人は「相手が得する」のが許せない?

私自身もそうだったように、清貧思想の裏返しで私たち日本人には「お金持ち=悪者」という刷り込みがあるように思います。時代劇に出てくるお代官様は必ず悪人ですし、「ドラえもん」の脇役であるお金持ちのスネ夫君もイヤミなキャラクターに設定されていたりします。

現代の日本でもその状況は変わりません。みんな本音ではお金が欲しいので、すでにお金を持っている人に対して妙なひがみ根性が出てしまうのでしょう。それを裏づけるのが、大阪大学社会経済研究所を中心とした研究結果です。

被験者に集団で公共財を作るゲームをさせたところ、日本人はアメリカ人や中国人に比べて、他人の足を引っ張ることに意識が向いているという結果が出たのです。

このゲームは、公共財に投資をすることで自分に利益がもたらされる一方、公共財であることから、たとえ相手が投資を行わなかったとしても、相手にも利益があるという状況を想定したものです。これによって被験者らがどのような行動を取るのかを見るというものでした。

要するに、自分の投資で相手が「手を下さないまま利益を得ること」をどうとらえるかが焦点となります。この実験の結果から、自分の利益が減ってでも「相手に得をさせたくない」傾向がいちばん強かったのが日本人だというのです。

 

刷り込まれた「お金に対する考え方」を変える

かなり不名誉な話ではありますが、日本人の心理に「他人の足を引っ張りたい」という特徴があるのは事実であろうと感じます。

「自分は少ない給料で我慢して働いている」という思いがある人にとっては、お金持ちを見ると「うまいことやりやがって」という感情が湧き上がってきやすいのでしょう。それが「どうせ悪いことをして儲けてるんだろう」という妄想につながり、「しょせん金の亡者じゃないか」と批判したり……など枚挙にいとまがありません。

しかも、今はSNSを使うことによって、匿名で言いたいことが言える時代です。お金持ちは人一倍お金を稼いで、人一倍税金を収め、国に貢献している面があるにもかかわらず、悪く言われがちです。

また、何かにつけて他人のことが気になり、目立つ行動をすると糾弾される点も日本社会では一般的です。同調圧力が強く、語弊があるかもしれませんが「みんなで悲しもう」「みんなで苦しもう」といった見えないカセがあるようにも感じます。

私のクライアントさんには、障がいのあるお子さんを持つ方がいます。彼女は自分のお子さんに障がいがあることをネガティブではなく個性としてとらえ、その子に合ったライフスタイルや進路を一緒に考えたいと思い、障がいのある子どもたちへのサービス支援をするビジネスを立ち上げました。

ところが同じ立場の親御さんから、「障がいをポジティブにとらえようなんて、茶化しているんですか?」「障がい者支援をビジネスにするなんて非常識だと思います」などと大変な反発があったというのです。私はその話を聞いて、日本社会では「出る杭は打たれる」という点は今でも変わっていないと感じざるを得ませんでした。

こうしたことからもお金のメンタルブロックは形成されています。メンタルブロックとは、私たちの心の中に無意識のうちに形成される目に見えない障壁のこと。「自分には無理だ」「お金を持つことは悪いことだ」「成功するのは一部の人だけだ」といった否定的な信念や思い込みは、典型的なメンタルブロックの例です。

こうして形成されたメンタルブロックを解除して、お金に対する前提を変えることが、お金を増やすための近道です。

三凛 さとし

インフルエンサー

THE GOLD ONLINEに「「お金を求めること=いやしいこと」…お金を貯められないのは、子ども時代から植えつけられた“ねじまがった価値観”が原因であるワケ」が掲載:2024年9月23日

「お金を求めること=いやしいこと」…お金を貯められないのは、子ども時代から植えつけられた“ねじまがった価値観”が原因であるワケ


お金が手に入らない、お金を貯められない、仕事の成果が上がらない。そうした人生の問題が起こる原因は、その人の努力不足や力不足ではなく、心の奥の「メンタルブロック」であることが少なくない。そう話すのは、15万人に「お金の最適解」を教えてきた三凛さとし氏です。本記事では三凛氏の著書『金のなる本 誰でも再現できる一生お金に困らない方法』より一部を抜粋、再編集して、メンタルブロックが形成されてしまう原因についてご紹介します。


子ども時代から徐々に形成される「メンタルブロック」

小中学生くらいになると、子ども同士で「誕生日やクリスマスに親からこんなプレゼントをもらった」「お年玉の額はいくらだった」など、お金に関連する話をするようになります。

本好きのある女性は、少年少女向けの全50巻もある文学全集を持つ友達をうらやましく思っていたそうです。そこであるとき、「私も〇〇ちゃんが持っているような文学全集が欲しい」と母親に告げたところ、全24巻の全集を買ってもらえることになりました。

母親の気持ちはありがたいと思ったものの、内心は「どうして50巻セットを買ってくれなかったんだろう。やっぱり、うちにはあんまりお金がないんだ」と考えてしまったといいます。

それがある種のトラウマになっているのか、「私には欲しいと思った本を見境なく買ってしまう癖があるんです」と話してくれました。

こんなふうに小中学生になると、ほかの家と比較して「じゃあ自分の家はどうなんだろう?」と考えるようになります。そして、「うちは中の下くらい」とか「よその家よりもお金がないらしい」などと判断するようになり、お金のメンタルブロックを徐々に形成していきます。

メンタルブロックとは、私たちの心の中に無意識のうちに形成される目に見えない障壁のこと。「自分には無理だ」「お金を持つことは悪いことだ」「成功するのは一部の人だけだ」といった否定的な信念や思い込みは、典型的なメンタルブロックの例です。結果として、個人の潜在能力の発揮を妨げ、人生の重要な機会を逃す原因となることがあります。

私自身は比較的裕福な家に生まれ育ちましたが、実はかなり長い間それに気づいていませんでした。というのも、私が通っていた私立小学校では、周りの友人たちの家庭がさらに裕福だったからです。

加えて、父は常々「うちはそんなに裕福ではない」と言っていました。これらの環境要因が、自分の家庭の経済状況を「普通」か「普通より下」だと思わせていたのです。実際には父が高給取りだったことを知ったのは後年のことでした。

 

「ねじまがった価値観」を変えることがお金持ちへの道

しかし、お金に関する価値観の形成に決定的な影響を与えたのは、主に次の2つの経験でした。

1つ目は、ある日の出来事です。お年玉をもらって喜んでいた私に対し、父が「金のことでそんなにニヤニヤするなんて、お前はいやらしいやつだな」と言ったのです。父に悪意がなかったことは明らかでしたが、この何気ない一言が幼い私の心に刺さりました。

父は単に軽口のつもりだったのでしょうが、それが私の心に強烈に突き刺さり、「お金が好きなのは、いけないことなんだ」と思うようになったのです。

2つ目は、幼い頃から見てきた父の姿です。父がなかなかの高給取りだったことを知ったのは、私が大人になってからですが、当時の父は仕事に追われる毎日でした。

土日も出社するかゴルフ接待と外で忙しく働く父の姿を見て、私の中には「仕事=つらいもの」、そして、うちは裕福ではないという言葉も信じていたので「こんなに忙しく働いても裕福にはなれない。仕事はつらいもの」というイメージが植えつけられていったのです。

これらの経験から、新卒時の企業選びでは、私はやりがいや興味を除外し、安定志向のみを重視。そうして絞り込んだ企業のうち、給料のいい企業を避けて、そこそこの給料の企業を選んだのです。

一般的には、同じような条件であれば給料のいい企業を選ぶでしょう。しかし、幼い頃に形成された「お金を求めること=卑しいこと」「仕事=つらいもの」というメンタルブロックから、給料のいい企業を避けてしまったのです。

不思議に思われるかもしれませんが、これは「給料のよさで企業を選んでいない」という価値観を自分自身に示さなくてはならない、という強迫観念的な感覚でした。

幼少期の経験が原因となった「お金で喜ぶのはいやらしいことなんだ」という思い込みと、「いくら働いても裕福にはなれない」という誤った認識によって、自分の中に妙にねじ曲がったメンタルブロックが作られてしまったのでしょう。

このメンタルブロックの影響は、その後の人生にも及びました。ニューヨークでのネズミと一緒の極貧生活。そうした異常な状況を「お金がないから仕方ない」と受け入れてしまったのも、このねじ曲がったメンタルブロックが原因だったと今では理解しています。

お金に対する健全な関係性を築けていなかったために、極度の貧困状態さえも正常化して受け入れてしまったのです。

一生お金に不自由したくないのであれば、こうして形成されたメンタルブロックを解除して、お金に対する前提を変えることが重要です。

三凛 さとし

インフルエンサー

THE GOLD ONLINEに「フリーランスの割合はアメリカの半分以下…日本人の“横並び思想”が妨げるお金持ちへの道」が掲載:2024年10月4日

フリーランスの割合はアメリカの半分以下…日本人の“横並び思想”が妨げるお金持ちへの道


ある調査によると、日本のフリーランス人口は17%とアメリカの半分以下だといいます。これは、組織に所属することや横並びになる事で得られる「安心」を求める傾向が日本人にあるということかもしれません。本記事では、15万人に「お金の最適解」を教えてきた三凛さとし氏の著書『金のなる本 誰でも再現できる一生お金に困らない方法』(KADOKAWA)より、一部を抜粋・再編集して、日本人がお金持ちになることを妨げている「横並び思想」について解説します。


所属欲求が強いサラリーマン志向の国民性

日本社会では「出る杭は打たれる」傾向にあることを前回ご説明しました。この「出る杭は打たれる」の根本にあるのが、「横並び思想」です。これは働いている人のほとんどが被雇用者(雇われて働く人)という国民性が影響しているのではないでしょうか。

日本最大級のクラウドソーシングを行っている「ランサーズ」という会社が、2018年に行った調査結果がそれを裏づけています。この調査によれば、アメリカのフリーランス人口が労働人口の35%を占めているのに対して、日本は17%とアメリカの半分以下となっています。

つまり、日本で働くということは何らかの組織に所属し、そこから給料をもらうことを意味すると言っても過言ではありません。

そのせいでしょうか、海外の人に比べて、日本人はとりわけ所属欲求が強いのではないかと感じることがあります。私は20代でアメリカに渡り、その後、オランダやポルトガルに移り住むなど世界各地で暮らしてみて、その思いはより一層強くなりました。

同調圧力の強い日本に暮らす人にとっては、立場も価値観も、他人と一緒であることが安心の根拠になっていると言えるのではないでしょうか。

 

フリーランスでは得られない「安心」を求めて

会社で働いていれば毎月給料がもらえる立場の人と、自ら仕事を作り出さない限り一銭もお金が入ってこない立場の人では、仕事に対する意識がまったく違います。会社に所属している人には会社から仕事が与えられますが、フリーランスの場合は自分の存在(実力、顔と名前)で仕事を獲得していくしかありません。

これは私自身が体験したことですが、大企業のサラリーマンだった私は、「仕事が嫌いだ」と言いながらも毎月1回給料をもらえるのが「当然」と思っていました。ところが、ニューヨークでファッションデザイナーになるための勉強をしようと、会社を辞めたとたん、何の肩書きもなくなり、お金も入ってこなくなったのです。

頭では理解していたものの、現実を突きつけられたとき、「どこにも所属しないフリーランスになるというのはこういうことか」と初めて実感しました。

仮に、順調にいくつかの仕事が得られたとしても、取引先には取引先のルールや都合があるので、すぐにギャランティを支払ってくれるとは限りません。想定していたよりも手間と時間がかかって効率が悪かったり、場合によっては案件そのものが立ち消えになったりするリスクもあります。

サラリーマンにはサラリーマンのつらさがありますが、ことにお金に関する不安はフリーランスのほうがかなり強いと断言できます。

多くの日本人にとって、お金は「会社が払ってくれるもの」という刷り込みがあり、だからこそ「頑張ってもたくさんのお金を手にすることはできない」というメンタルブロック(私たちの心の中に無意識のうちに形成される目に見えない障壁)の要因になっているのではないでしょうか。

日本も欧米にならって実力主義の傾向が強くなってきてはいますが、まだまだ横並び意識が強く、「出る杭は打たれる」社会だと思います。下手に問題意識を持つと組織の中で悪目立ちして浮いてしまい、上司に目をつけられて、社内での居心地が悪くなったり、昇進できなかったり、最悪の場合は肩たたきにあったりする可能性もあります。

そのことを内心よくわかっているので、日本人ははっきりものを言わないし、できるだけ他者と足並みをそろえようとします。そのほうが組織の中で生き残っていくのに便利であり、自分を守っていくことができるからです。

そうしているうちに、「飛び抜けてはいけない」「人と同じでないといけない」というメンタルブロックがより強固なものになっていくというわけです。

三凛 さとし

インフルエンサー

THE GOLD ONLINEに自己決定力・自己肯定感が低い日本人が「お金を稼ぐ人間」になるために投資より先にやるべきことが掲載:2024年10月11日

自己決定力・自己肯定感が低い日本人が「お金を稼ぐ人間」になるために投資より先にやるべきこと


自分のことなのに決断できず、自信が持てない……。こうしたメンタルの問題を解消することが、お金を稼げる人間になるために重要だと語るのは、15万人に「お金の最適解」を教えてきた三凛さとし氏です。本記事では、三凛氏の著書『金のなる本 誰でも再現できる一生お金に困らない方法』(KADOKAWA)から一部を抜粋・再編集し、自己決定力や自己肯定感とお金の関連性について解説します。



お金を稼ぐうえで「自分で決定を下す能力」が重要

自分の将来の設計図を思い描き、それに向かって今何をすべきか、それをどうやって具体的な行動に落とし込むかを決めることができるのは、自分自身しかいません。本人以外の人には、「こういう道もあるよ」「こういうやり方もあるよ」とアドバイスはできても、決めることはできないのです。

 

私自身もクライアントさんに「どうすればいいですか?」という質問をたびたび受けることはすでにお話ししたとおりです。そんなとき、私はこう答えるようにしています。

 

「そのように他人に判断をゆだねようとすること自体が、あなたがおっしゃる『自分の人生がパッとしない』と感じる一因かもしれません。自分の人生の主役は、ほかでもない、あなた自身です」

 

この自己決定の重要性は、ビジネスの世界でより顕著になります。サラリーマンとして働く場合、確かに自由度は制限されますが、その代わりに多くの決断を会社にゆだねることができます。収入の安定性や将来の保障など、ある意味で人生の責任の一部を会社に預けることができるのです。

 

一方、独立や副業、起業、フリーランスの道を選ぶと、状況は一変します。一日をどう過ごすか、どの仕事を受けるか、どのように価格設定するかなど、すべての決断を自分で下さなければなりません。

起業家の日々は、まさに決断の連続です。ホームレスになるか億万長者になるか、その結果もすべて自分の決断次第なのです。

 

このように、自分で決断を下す能力は、独立してお金を稼ぐうえで非常に重要です。決断力が不足している人にとっては、独立の道は大きな挑戦となるでしょう。

 

しかし、これは克服不可能な壁ではありません。決断力は、実践と経験を通じて養うことができるからです。頭で理解するのと、腹落ちしてそれまでの考え方や行動を変えることの間には、大きな隔たりがあります。行動パターンをすぐさま変えられるわけではありませんが、

 

「自分で決めることができない人間であること」

 

「そんな自分だからこそ、いつまでたっても『自分の人生はパッとしない』と感じてしまうこと」

 

を理解しているか、理解していないかでは、結果が大きく違ってきます。

 

理解できていれば、何かを選択しなければならない事態に直面したとき、「誰かにアドバイスをもらったとしても、最終的に決めるのは自分だ」という考えが頭をよぎることでしょう。その積み重ねが自信を生み、メンタルブロック(私たちの心の中に無意識のうちに形成される目に見えない障壁)を壊していくことにつながっていくのです。

 

自己肯定感こそが、お金の問題を解決するカギ

 

2018年に内閣府が実施した、「我が国と諸外国の若者の意識に関する調査」の中に、自分への満足度に関わるものがあります。そこには興味深い結果が見られました。「自分自身に満足している」という項目に対する回答として、「そう思う」「どちらかといえばそう思う」と答えた割合を、諸外国と比較した調査結果です。

 

アメリカ87.0%、フランス85.8%、スウェーデン74.1%、韓国73.5%と諸外国が70%を超えているのに対し、日本は45.1%と圧倒的に低かったのです。

 

日本の若者の半分以上が、「自分に満足しているとは言えない」という事実は、何とも悲しい結果です。「子は親の鏡」という言葉もあるように、今の若者を育てた親世代も同様に「自分に満足しているとは言えない」状況にあるのは間違いなさそうです。

 

自己肯定感が低いままであることによって、自信を持てずに失敗を恐れて、自分がやれる範囲のことしかやろうとしない消極的な生き方になってしまっているのでしょう。

 

お金を稼ぐ力も含め、あらゆる能力は自分の可能性を信じ、挑戦を続けることによってしか身につけることはできません。自己肯定感こそがお金の問題を解決するカギ、と言っても過言ではないのです。

 

お金の本には積立投資や不動産投資を勧めるもの、若いうちに資産を増やして早期リタイアするFIRE(ファイア)を勧めるもの、さらには宇宙の力を借りて願いを叶えようというスピリチュアル色の強いものまで、さまざまなバリエーションがあります。

 

もちろん、どれも有効に活用すれば資産形成に役立つ面があるとは思いますが、私にはそれ以前にやるべきことがあるように思えてなりません。それが、自己肯定感を高めて、「自分はお金を作り出していける人間だ」という自分に対する信頼感を持つことです。

 

 

三凛 さとし

インフルエンサー